社説の最新記事

最新記事一覧

臨時国会閉幕 政治への信頼回復には程遠い【社説】

臨時国会が27日間の会期を終えて閉幕した。衆院選で過半数を失った与党は、国民民主党の協力を得て2024年度補正予算を成立させた。閉幕後の記者会見で石破茂首相は「与野党が侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を行い、熟議の国会にふさわしいものになった」と評価した。しかし、国民民主との「部分連合」を維持できるかなど残された課題は多い。

沖縄の米事務所 基地行政巡る「外交」は不適切 【社説】

沖縄県議会は、県が米ワシントンに置く駐在事務所の運営手続きに問題があるとして、地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)の設置を決めた。県政野党である自民党の県議が動議を提出し、やはり野党の公明党も賛成して可決されたものである。沖縄県議会で百条委が設置されたのは約10年ぶり。

「同性婚」容認判決/「婚姻」の目的を歪めるな【社説】

同性カップルの結婚を認めない民法などの規定は憲法に反するかを争う裁判の二審で「違憲」判決が続いている。

日本学術会議 国益に資する組織改革を 【社説】

日本学術会議の在り方を検討する政府の有識者懇談会が、法人化に向けて組織形態や会員選考の方向性を示した報告書をまとめた。学術会議は軍事研究を行わないとする声明を発表するなど、特定のイデオロギーに基づく運営が目立った。法人化によって国益に資する組織に生まれ変わらなければならない。

貸金庫窃盗 信頼揺るがした管理の甘さ 【社説】

三菱UFJ銀行の貸金庫に預けられていた顧客資産十数億円相当が盗まれた。 前代未聞の不祥事であり、金融機関に対する信頼を大きく揺るがす事態だ。

仮装身分捜査 闇バイトの根絶につなげよ【社説】

政府の犯罪対策閣僚会議は闇バイトによる強盗事件が相次いでいることを受け、捜査員が架空の身分証を使って闇バイトに応募する「仮装身分捜査」を早期に実施するなどの緊急対策をまとめた。犯罪グループに捜査員が交じるようになれば、犯行を抑止する効果も期待できる。闇バイトの根絶につなげたい。

エネ基本計画案 原発の「最大限活用」は妥当 【社説】

経済産業省は次期エネルギー基本計画の原案で、2040年度の電源構成について再生可能エネルギーを4~5割程度、原発を2割程度とし、両電源を脱炭素化に向けて「最大限活用する」ことを打ち出した。

政策活動費廃止 与野党で公平なルール作りを 【社説】

今国会で焦点となる政治改革関連3法案が衆院を通過した。使途公開不要な政策活動費を全面的に廃止する与野党の合意が法案可決に弾みを付けた。衆院で与党が少数となり、政治家が自らに課する「政治とカネ」を巡るルール作りは各党の合議により公平に進めてほしい。

12月日銀短観 先行き懸念で利上げは慎重に 【社説】

自動車生産の回復や堅調な設備投資を受け、大企業製造業の景況感が小幅ながら改善したことが、日銀が公表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)で明らかになった。ただ、大企業非製造業は景況感が悪化した。先行きについては、規模や業種を問わず企業心理が悪化して警戒感が強まっている。日銀は利上げを急がず、慎重な政策運営に努めてもらいたい。

平和賞授賞式 否定できぬ核抑止力の維持【社説】

ノルウェーのオスロでノーベル平和賞の授賞式が行われ、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に授与された。被爆体験の伝承などを通じて68年間にわたり核兵器廃絶への活動を続けてきたことが評価されての受賞である。国際情勢が厳しさを増す中、被団協の平和賞受賞は、核廃絶を目指す草の根の運動を力付けるものとなろう。

尹氏弾劾可決 対北連携に遅滞を招くな 【社説】

韓国国会が尹錫悦大統領の弾劾訴追案を可決した。大統領は職務停止になり、韓悳洙首相が大統領代行となった。今後、尹氏の戒厳発令問題は憲法裁判所で審理される。弁明では自らが発令の理由を明らかにするとしているが、もはや政治闘争となった現下の状況で、憲法論だけで乗り切るのは難しいだろう。

認知症施策 尊厳が守られる社会に【社説】 

政府は、認知症の人が暮らしやすい社会を目指す「認知症施策推進基本計画」を閣議決定した。認知症になっても希望を持って自分らしく暮らし続けることができるという「新しい認知症観」に立って、国や地方公共団体が連携して施策に取り組む。2040年には高齢者の約15%が認知症になるとの推計もあり、認知症の人の尊厳が守られる社会環境が求められる。

NTT法報告書 必要な改正行った上で存続を 【社説】

NTT法見直しを議論する情報通信審議会(総務相の諮問機関)の通信政策特別委員会がまとめた最終報告書は、自民党が求めたNTT法廃止について存続との両案併記にとどめ、総務省に検討を委ねるとした。NTTの公共的な役割を踏まえれば、NTT法は必要な改正を行った上で存続させることが望ましい。

ルーマニア大統領選 民意曲げるサイバー戦を防げ【社説】

ルーマニア大統領選挙の第1回の投票で泡沫(ほうまつ)候補だった親露派候補が得票率トップに立ったことを受け、憲法裁判所は機密解除された情報に基づいて外部工作を含め不正にネットを用いた選挙運動の問題などを指摘し、全ての選挙プロセスを無効にする決定をした。ロシアの介入が指摘されており、サイバー戦争の一環とみるべきである。

ノートルダム大聖堂 「人類共通の財産」復活を喜ぶ【社説】

2019年に大規模火災が起きたフランス・パリのノートルダム大聖堂が蘇(よみがえ)った。5年8カ月の修復工事を経て再開された「人類共通の財産」の復活を喜びたい。

アサド政権崩壊 一つになり国家の再建目指せ【社説】

シリアのアサド政権が崩壊した。国民は13年にわたる内戦で辛酸をなめてきた。国民の安全と国家としての一体性を取り戻し、地域の安定に貢献できる国家再建への一歩とすべきだ。

国際学力調査 専門性と魅力ある教師育成を【社説】

国際教育到達度評価学会(IEA)は58カ国・地域の小学4年と中学2年を対象に2023年に行われた国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の結果を公表した。4年に1度、主に基礎的な学力を測る調査だ。日本は小中とも理科で前回より平均点が低下したものの、文部科学省は算数・数学を含め、「高い水準を維持した」としている。小中、いずれの教科もトップはシンガポールだった。参考にすべきだ。

伝統的酒造り 遺産登録を輸出拡大の弾みに 【社説】

日本の伝統的な酒造りの文化的な価値が世界で認められた。海外でも人気が高まる日本酒や焼酎の世界的な普及の弾みとしたい。

韓国「非常戒厳」 あまりにも大きい悪手の代償 【社説】

韓国の尹錫悦大統領による「非常戒厳」はわずか6時間で終わった。これに対して非難が高まっており、野党は退陣を要求し、弾劾案を提出する一方、全員の閣僚が辞意を伝え、韓国政治は一気に流動化し混乱している。「従北勢力を一掃し自由憲政秩序を守るため」という理由だったが、韓国の保守系メディアですら「野党『共に民主党』が暴走しているからと言って(戒厳発令は)度を越した措置」などと非難一色だ。

日本維新の会 国会議員の影薄くした代表選【社説】

日本維新の会が臨時党大会で党代表選挙を行い、投開票の結果、大阪府知事の吉村洋文氏を新代表に選出した。他に3人の国会議員が候補者として吉村氏と競ったが、圧倒的な大差をつけられた。

国会代表質問  冷静な企業団体献金の議論を 【社説】

10月の衆院選で自公与党が過半数割れして初めての本格的な論戦となる臨時国会で、所信表明演説に対する各党代表質問が始まった。衆院では、大きく議席を増やした野党の議員から、石破茂首相が答弁中に激しいブーイングを受ける場面が増え、首相が劣勢に立たされていることを印象付けた。

サイバー防御 体制の脆弱性克服は不可欠 【社説】

サイバー攻撃の兆候を捉えて被害を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」の導入に向け、政府の有識者会議が公表した提言には、通信監視について「攻撃が顕在化する前から行われる必要がある」と明記された。

マイナ保険証 登録者の不安を払拭したい 【社説】

政府はきょう、健康保険証の新規発行を停止する。マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」への移行を進めるためだが、マイナ保険証の利用率は伸び悩んでいる。政府はセキュリティー面などへの不安を払拭する必要がある。

首相所信表明 党派超え建設的な論戦を 【社説】

臨時国会が開幕し、石破茂首相が所信表明演説を行った。自民、公明による少数与党だけでは予算案も法案も成立させられない厳しい政治状況になって初の本格的な論戦のスタートとなった。石破首相は「真摯(しんし)に謙虚に取り組む」姿勢を示したが、野党側も国民の負託に応えるための重責を自覚し、政局化せず緊張感を持って国会対応しなければならない。

米フィジー交渉 日本も島嶼国への関与強化を 【社説】

米国と南太平洋のフィジー両政府は、米軍がフィジー領域内で活動しやすくするため、地位協定締結への交渉に入った。協定が成立すれば、米軍部隊の派遣や共同訓練が頻繁に行われるようになる。太平洋島嶼(とうしょ)地域で影響力を増す中国を念頭に、米国だけでなく日本も関与を強化すべきだ。

共同通信誤報 日韓修復の機会を潰す損失だ 【社説】

結果的にデマゴーグが日韓修復に支障を来す形になった。「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産登録を受けて新潟県佐渡市で行われた朝鮮半島出身者を含む全労働者の追悼式を巡り、日本側政府代表の生稲晃子外務政務官が過去に靖国神社を参拝したとして韓国世論が反発、韓国側は代表者の参加を中止した。その後、生稲氏の参拝を報じていた共同通信社が誤報と発表したが、覆水盆に返らずの事態を招いた。

COP29 中印は大国の責任果たせ【社説】

アゼルバイジャンの首都バクーで開かれていた国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)は途上国の温暖化対策の資金について、先進国の主導によって2035年までに「少なくとも年3000億㌦(約46兆円)」とする成果文書を採択した。

総合経済対策 物価高対策にもっと厚みを【社説】

政府は総合経済対策を決定した。裏付けとなる2024年度補正予算案の歳出規模は約13兆9000億円である。物価高が続き成長の重しとなっているためだが、それにしては対策の中身が貧弱で、物価高克服の本気度を疑わせる。もっと厚みが必要である。

民主派実刑判決 香港国安法による弾圧危ぶむ 【社説】

一国二制度の形骸化と共に、政治的自由を失った香港の現実をまざまざと見せつけられた。4年前の香港立法会(議会)選挙へ向けた予備選を巡り、「政権転覆を共謀した」として、香港国家安全維持法(国安法)違反で民主派が起訴された裁判で、香港高等法院(高裁)は、45人に禁錮10年から4年2月の有罪判決を言い渡した。

大谷選手MVP 来季も飽くなき挑戦を期待 【社説】

米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手がまた快挙を成し遂げた。昨年のアメリカン・リーグに続きナショナル・リーグの最優秀選手(MVP)に選ばれた。MVPに輝くのは3度目で、指名打者に専念した選手としては初めてだ。
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