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遠藤周作『深い河』 日本人が求める神、宗教とは何か? 自らの人生への疑問描く【宗教思想】

今年9月に再放送されたNHK「こころの時代」の「没後30年遠藤周作遺作『深い河』をたどる」を見て、20年前に訪ねたインドのヒンズー教の聖地ヴァーラーナシー(ベナレス)を思い出した。

万博記念公園 ʼ70パビリオンで往時を回顧、コスモス、コキアなど見頃にー大阪府吹田市

1970(昭和45)年に開催された日本万国博覧会(大阪万博)の跡地を整備した万博記念公園(大阪府吹田市)は、自然に親しめる環境と博物館施設が備わり、絶好のレジャー空間となっている。

思想史から見た旧約聖書 イスラエル独自の人間観 「モーセ否定」を否定した近代旧約学

20年ほど前「歴史の父」ヘロドトス(紀元前484~同425年)の『歴史』を熟読し、本紙に連載記事を書いたことがあった。

混沌都市・東京の可能性と課題 芦原 義信 著『東京の美学―混沌と秩序―』『隠れた秩序 二十一世紀の都市に向って』 【時代と読む】

この2冊が出版された時は、バブル経済崩壊以前の、日本経済に勢いがあった頃で、現在とは状況が異なる。しかし、日本の気候風土や文化に根差した「隠れた秩序」という本質的な特質は変わらない。著者が『東京の美学』で提言していることは今でも通じており、現在の再開発を考える上で多くのヒントとなり得る。

『47都道府県・暗渠百科』 高山 英男、吉村 生 共著 当時の地形伝える格好のインフラ 【書評】

今年の夏は、地球温暖化を要因とする集中豪雨などの大規模な災害が頻発した。とりわけ降雨が豪雨となる極端化傾向が著しかった。天気予報に必ず表示される危険レベル5(黒色)と危険レベル4(赤色)のハザードマップには黒と赤の線の表示だけで埋め尽くされていたと言えば大袈裟(おおげさ)だろうか。よく見るとこうした河川にもそれなりの名称が付いている。かつて人々がこれらの河川で暮らしていた証しであろう。

『AIのトリセツ』黒川 伊保子 著 低年齢の利用は脳に悪影響 【書評】

ベストセラー『夫のトリセツ』『妻のトリセツ』などのシリーズで知られ、人工知能研究者の顔も持つ著者がタイムリーな解説書を出版した。本書は、何事もAIに尋ねる前に自分の頭で一度考える、という当たり前のことがなぜ大事なのか、脳の仕組みを含めて説明している。

『決定版 小栗上野介』 村上 泰賢 著 横須賀造船所を造った幕臣 【書評】

2027年の大河ドラマ「逆賊(ぎゃくぞく)の幕臣(ばくしん)」の主人公小栗忠順(ただまさ)の評伝。著者は小栗家菩提寺、東善寺住職で小栗の研究者にして顕彰会の理事である。

特別企画展「土門拳の風貌」 こおりやま文学の森資料館 まなざしが捉えた文化人たち 著名人の迫力に満ちた肖像写真

福島県郡山市のこおりやま文学の森資料館で、特別企画展「土門拳(けん)の風貌」が開かれている。

大河ドラマ『豊臣兄弟!』特別展 肖像画や国宝含む130点展示ー江戸東京博物館リニューアルを記念

約4年にわたる大規模改修を行っていた東京都墨田区の江戸東京博物館が3月31日にリニューアルオープンした。これを記念して、同館で恒例でもあった「NHK大河ドラマ特別展」が帰ってきた。

西洋絵画のサブジャンル『動物画』 大農業国の豊かな生活風景 19~20世紀の作品200点以上―クールベ美術館【フランス美術事情】

西洋絵画の世界で動物画はサブジャンルの一つだった。その理由は、聖書的解釈において、神、人間、動植物を含む自然は、東洋的な横の並列関係ではなく、縦の階層関係にあったからだ。

浮かび上がる疑似宗教的性格 三宅 香帆著『推したちとどう生きるか』 【時代と読む】

「推し」「推し活」という言葉をよく耳にするようになった。 「現代社会において『推し活』という言葉は、かつてのように限られたコミュニティーの専門用語ではありません。それは私たちの日常生活に深く根を下ろし、世代や価値観を超えて共有される文化的なムーブメントとなっています」と、愛知淑徳(しゅくとく)大学の久保南海子(なみこ)教授がNHKの「視点・論点 中高年の〝推し活〟幸福とリスクの表裏」の冒頭で述べている。

『シモーヌ・ヴェイユ思想入門』今村 純子著 映画と共鳴させて敷衍する 【書評】

シモーヌ・ヴェイユ(1909~43年)はユダヤ系フランス人女性思想家で、34歳という若さで没した。プラトンから大きな影響を受け、キリスト教プラトニズムの問いをほぼすべて論じ尽くしたとされる。

『無とは何か』堀田 昌寛著 月は見ていない時にも存在する 【書評】

「無は、何もないことではない」―この逆説的な言葉が、本書を貫く。私たちは普段、身の回りのモノが実在することを疑わない。机も月も、自分自身も、そこに「ある」のが当然だ。だが、現代物理学は、その当たり前の実在性を揺さぶっている。

『刻印』ディラン 大月著 解散と似た経緯、米国での脱税裁判 【書評】

今年6月、最高裁で解散命令が確定した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)。本書は、その創設者文鮮明師の、米国での40年前の脱税裁判を検証した『異端審問』(1991年、米国)の解説書である。

飛鳥を開拓した渡来氏族「東漢氏」 氏寺「檜隈寺」跡を訪ねる ルーツに朝鮮半島の安羅伽耶説【文化】

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された「飛鳥・藤原の宮都(きゅうと)」のある奈良県明日香村は、奈良盆地の最南部に当たる。この地域を開拓したのは東漢(やまとのあや)(倭漢)氏など大陸や朝鮮半島からの渡来氏族だった。

長岳寺の大地獄絵開帳 奈良県天理市 住職が物語る「閻魔の嘆き」 精密な図柄とリアルな描写【文化】

私は学生時代、奈良県天理市のJR天理駅から大神(おおみわ)神社までの、日本最古の道の一つとされる「山の辺の道」を何度か歩いた。

恵庭・支笏湖、そして千歳路を行く 秋を先取り、晩夏の北海道

お盆が過ぎた8月下旬、札幌近郊の日中の気温は25度前後となり、ひと頃の猛暑が嘘(うそ)のように去り、秋の気配が漂う。紅葉の時期にはまだ早いが、山々の秋の気配を感じようと車で支笏(しこつ)湖方面を走り、千歳(ちとせ)まで足を延ばしてみた。

天空の白いじゅうたん 福島・南会津町

 福島県南会津町で、そばの花が見頃を迎えている(写真)。標高1000㍍にある高杖原地区の「たかつえそば畑」では毎年8月下旬から9月上旬にかけて、広さ12㌶の土地一面が白いそばの花のじゅうたんとなる。

中国で見つけた日本の秋 作家・栗田勇さんとの思い出 苦労した原稿ストックの作成【文化】

初秋を迎えて草花のことを考えていると、思い出す風景がある。作家の故栗田勇さんと中国浙江(せっこう)省にある天台山を旅した。これは連載小説『比叡(ひえい)は萌(も)える』(小紙1987年1月5日~90年3月31日掲載)のための取材旅行で、連載が始まる前年の9月のことである。

石橋をたたいて渡る慎重さも 池本 大輔 著『サッチャー「鉄の女」の実像』 【時代と読む】

 サッチャー評伝の2冊目として昨年10月に出版された池本大輔著『サッチャー 「鉄の女」の実像』(中公新書)を取り上げたい。前回の冨田浩司著『マーガレット・サッチャー』(新潮選書)が主にサッチャーのリーダーシップに焦点を当てているのに対し、本書は経済政策や欧州統合問題への対応などをより細かく見ることに比重を置いている。

『救国の総理 高市早苗』宇津木 愛子著 サッチャーと重なる女性総理 【書評】

 政治とは程遠い理論言語学の専門家である著者が、なぜ本書を執筆したのか。それは、ケンブリッジ大学でサッチャー政権下のイギリスを体験していた著者に、日本を守るために命懸けで戦おうとする日本初の女性総理大臣の姿が重なったからである。

『中国に奪われた祖国チベット』 ペマ・ギャルポ著 チベットの悲劇を繰り返すな 【書評】

 7月2日、国連本部前でチベット人の男性が焼身自殺をした。中国で「民族団結進歩促進法」が施行され、激しさを増す弾圧への抗議と、自由を剥奪された民族の悲痛な叫びを訴える行為だった。本書は、中国によるチベット支配の悲劇を教訓に、失われた日本の良き文化・伝統の回復を訴える一冊だ。

『日本の森林に新しい命を―山村に住む森林学者からの提言―』 岩井 吉彌 著 EUの「条件不利地域」に相当 【書評】

 誰が言ったのだろうか、日本は「木の文化の国」であると。なんとなくホッとさせるネーミングである。事実、木造建築に関して、世界一古いのは法隆寺、世界で最大規模なのは東大寺の大仏殿、世界で最も高い木造建築は東寺の五重塔である。

闊達な描線 キトラ古墳の白虎 明日香村の彩色壁画古墳―奈良 高松塚は新施設で公開へ【文化】

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された「飛鳥・藤原の宮都(きゅうと)」。その重要な構成資産である奈良県明日香村のキトラ古墳と高松塚古墳を訪ねた。

芝居と遊里の世界、浮世絵に生き生き―江戸東京博物館企画展

 江戸文化の象徴の一つである「浮世絵」にスポットを当てた企画展「浮世へのいざない―江戸博×出光コレクション初共演」が25日、東京都墨田区の江戸東京博物館で始まった。それに先立ち24日、報道向けの内覧会が開かれた。

生誕100年安野光雅展―栃木市立美術館 遊び心と発見する喜び 自らが見つけ出す自分だけの「何か」

淡い水彩画。どこか懐かしい風景。『ふしぎなえ』や『旅の絵本』シリーズで知られる画家安野光雅(あんのみつまさ)氏(1926~2020年)の生誕100年を記念した企画展「安野光雅展 ふしぎな旅に出かけよう!」が栃木県の栃木市立美術館で開かれている。

『囚われの旅人』が伝える世界 Vol.2 「終戦の日」に平和願うコンサート

終戦から81年を迎えた15日の「終戦の日」、記念コンサート「『囚(とら)われの旅人』が伝える世界Vol.2」が東京都新宿区のショコラスタジオで開かれた。

〝体験〟して知る海の魅力  海洋都市横浜うみ博2026

海洋都市横浜の海を舞台にした子供向けの体験型イベント「海洋都市横浜うみ博2026」が8、9日に横浜市内で開催された。今年で11回目を迎え、研究機関や企業、大学、行政なども参加。

「ミッドウェイ海戦」大木毅著 敗戦のはじまり、隠蔽の物語 【書評】

 1942(昭和17)年6月5日から7日にかけて行われたミッドウェイ海戦は、太平洋戦争での日本軍の攻勢の「終わり」であり、45(昭和20)年8月15日に迎える敗戦への「はじまり」だった。極めて重要な海戦だったにもかかわらず、今も解明されたはずの事実が無視され、否定された「伝説」や「神話」が通用している。このあいまいな事態に対して、軍事史の第一人者である著者が、事実として分かっていることと、議論の答えが出ていないことを分け、この海戦研究の最前線を示そうとした語り下ろしの書である。

『世界史の中の明治維新』 加藤 聖文著 日本はなぜ「帝国」を目指したか 【書評】

 帝国主義の欧米列強に植民地にされるのを避けようと、列強をモデルに近代化を急いだ日本が、列強のような「帝国」になったのが1910年の韓国併合の時である。その最大の要因が、併合に反対だった伊藤博文が前年、安重根(あんじゅうこん)に暗殺されたことは、歴史の大きな皮肉なのだろう。
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