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「山を歩く、魂が還る」 矢作 直樹著 山は天と地をつなぐ場所 【書評】

山との関わりは人により千差万別。幼い頃、東京の町田市に住んでいた著者が最初に登った山は草戸山(くさとやま)。高尾山の南方にあり、高尾山口駅の東から南下する尾根の先にある山だ。

『新版 科学がつきとめた「運のいい人」』 中野 信子著 理にかなった利他、行動、祈り

 「運がいいとか 悪いとか 人は時々口にするけど……」さだまさし氏が作ったグレープの楽曲『無縁坂』の一節だ。人生山あり、谷あり、一生を考えた時、良いこと、悪いこと、相半ばするが、人それぞれの捉え方によって「良い人生だった」と感じるか「悪い人生だった」と思うかに分かれてしまう。 

『記者は天国に行けない 反骨のジャーナリズム戦記』 清武英利著 独裁に立ち向かった告発記録 【書評】

2011年11月11日、読売新聞の元社会部記者で巨人軍球団代表だった著者は、記者会見を開いて、会社のコンプライアンス違反を告発した。自称「最後の独裁者」で「読売のドン」こと故・渡邉恒雄氏に反旗を翻した。

精緻な史料検証で史実に迫る 世襲王権を確立した大王 河内 春人著『継体天皇』

河内春人著『継体天皇』(中公新書)が、新書の売れ筋となっている。 副題は「六世紀に現れた世襲王権の『始祖王』」。最近の皇位継承問題への関心の高まりがその背景にありそうだ。

大和三山望む絶好の景観ー藤原京跡(奈良県橿原市)

奈良盆地の南部に美しい山容を浮かび上がらせる大和三山(やまとさんざん)(天香久山(あまのかぐやま)・畝傍山(うねびやま)・耳成山(みみなしやま))に囲まれた藤原京跡は、条坊や条里の跡が田のあぜによく残り、近年の発掘調査により宮殿建築も明らかになりつつある。

若島 正訳『オフェイロン短篇集』 人物造形の鮮やかさが魅力 【書評】

 アイルランドを代表する現代作家の一人ショーン・オフェイロン(1900~91)の短篇集。1946年発表の「無垢」から73年の「内外コンプレックス」まで10編を収める。

『台湾軍事機密文書が語る中国「抗日戦争」の真相』 遠藤誉著 日本軍と協力していた中共軍 【書評】

 1945年8月、4歳の著者は家族と旧満州の長春にいて、攻め込んできたソ連兵士に出会った。翌年2月、ソ連兵はいなくなり、代わりに中共軍が攻撃してきて入城。父の経営する製薬工場を若い八路軍兵士が守った。著者は市街戦の流れ弾で負傷したが、その兵士がいろんな話をしてくれた。その中に毛沢東のことが出てきて「人民を救ってくれるんだ」と言う。

『世界から見た日本の保守』 谷本 真由美著 保守とは何かを問う 【書評】

 近代政治における「保守」と「革新」は欧州で生まれた概念で、保守は王党派を支持する貴族や教会の権威を維持しながら穏やかな変化を目指し、革新はそれらを排除して急激な変化を求めた。

近衛文麿邸「荻外荘」を訪ねる 復元された昭和史の舞台「荻窪会談」の客間・自決の書斎

昭和の激動期、3度にわたり首相を務めた近衛文麿(このえふみまろ)の東京・荻窪の別邸「荻外荘(てきがいそう)」を訪ねた。閑静な住宅街の中にあるこの別邸は、近衛を中心に何度も重要会議が開かれ、昭和史の舞台となった。

「不動明王と慈恩寺修験」本山慈恩寺で特別展 東北随一の寺領誇る修験の場――山形【文化】

炎を背にし、剣を握り、険しい表情で正面をにらむ不動明王。その怒りの形相からは恐ろしさよりも、むしろ人の迷いを断ち切ろうとする強い意志を感じさせる。

もとみやかをる追悼展、「内なる被服」を再展示 ミヅマアートギャラリー(東京)

 美術家もとみやかをる(1963年~2022年)の追悼展が東京都新宿区のミヅマアートギャラリーで開かれている。もとみやは1990年代に美術家としての活動を始め、身体と環境の関係をテーマとしたインスタレーションを国内外で数多く発表した。

老いの哲学「これでいいのだ」 阿刀田高著『90歳、男のひとり暮らし』を読む 不自由を受け入れ心穏やか 豊かな老後に貴重なヒント【文化】

短編小説の名手で日本ペンクラブ会長などを歴任した阿刀田高(あとうだたかし)氏のエッセー『90歳、男のひとり暮らし』(新潮選書)を読んだ。

自宅に展示館まで建設 秋田県湯沢市 「まなぐ凧」は日本一 湯沢凧同好会会長・小野育朗さん

秋田県南部、湯沢市の小野育朗(いくろう)さん(76)は「湯沢凧(ゆざわだこ)」に魅せられ、自宅に展示館「湯沢凧春風(はるかぜ)館」までつくった。

モネ没後100年 14の特別展  「ノルマンディー印象派」展から見る 19世紀欧州を描く混沌の世界【フランス美術事情】

日本でも人気の高い印象派の巨匠、クロード・モネは、地元フランスでも不動の存在と言える。

40代で世界の舞台目指す ピアニスト 管谷怜子さん

 「名ピアニスト」と呼ばれるのは、権威ある国際コンクールで受賞した者のことを指すのか。光の当たらないピアニストの中にこそ、鍵盤に命を吹き込み、聴く人の心を揺さぶる奏者がいる。ピアノ講師から身を引き、演奏家一筋の世界を目指す管谷怜子(すがやりょうこ)さんもその一人だ。

『AIと人間 知の責任について』 三宅 善信著 神道者が生成AIを論じる意味 【書評】

 金光(こんこう)教教会長で神道国際学会理事長の著者は、神道者がAIを論じる意味について、「AIの時代において、最も問い直されているものこそが、神道が長らく言葉にせずに抱え続けてきた世界観だからである」と述べる。さらに、「AIは責任を引き受けない。だが、それはAIが『悪い』からではない。責任とは、死にうる存在にしか宿らないからである」と。

『夏蜜柑とソクラテス』 新井 紀子著 「解ける」より尊い「わかる」【書評】

 『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』で知られる新井紀子氏のエッセー集。数学者で人工知能(AI)研究の第一人者が書いた本と聞けば、堅い論考を想像するかもしれないが、本書は何気ない日常を知性と教養で見つめ、女性特有の細やかなタッチで綴(つづ)ったとても読みやすい作品となっている。

『「マッカーサーの日本占領」への疑問とは』 杉原 誠四郎著 占領政策の功罪を検証【書評】

 日本は7年の占領期間を経て主権を回復したが、戦後レジームから脱却できずにいる。言い換えれば、いまだに「精神的な占領下」にあり、当時の歴史を正しく総括できていないのだ。日本は「マッカーサーの日本占領」を経て、何を解決すべきだったのか、また、何が解決されずに残ったのか。本書はこうした疑問を明らかにするものである。

内村鑑三を読む146 『ロマ書の研究』⑧ パウロの慕うべき魂の清さ【内村鑑三を読む】

ロマ書の第1章第1節から7節までは、パウロの自己紹介だった。この自己紹介でパウロの神学と人生観が語られた。続く第8節から15節までを、内村は第6講で「ローマ訪問の計画」と題して語る。パウロは記した。

推古天皇による仏教立国 豪族連合から天皇王権の国へ【宗教思想】

昨年6月、日本最古の本格的な仏教寺院である奈良県明日香村の飛鳥寺跡(国指定史跡)で、1956年から57年にかけて行われた発掘調査で発見された遺物の中から、6世紀末に仏塔の地下に納められた創建時の舎利容器とみられる金属片が複数確認され、お椀(わん)形の金銅容器である可能性が高いことが判明した。

人の心に潜む欲心 大森界隈は後に文士村にー芥川龍之介『魔術』

〈或時(あるとき)雨の降る晩のことです。私を乗せた人力車は、何度も大森界隈(かいわい)の険しい坂を上ったり下ったりして、やっと竹藪に囲まれた、小さな西洋館の前に梶棒(かじぼう)を下ろしました〉

筒井清忠編『昭和史講義【戦後文化篇】(上)』 大衆を軸に新たな視点で【昭和100年を読む】

 戦後文化を思想や文学を中心に19人がそれぞれのテーマで講じ、新たな視点から光を当てている。取り上げられたテーマは大学やマスメディア周辺の人々の間で一時期流行し消えたものでなく、日本が迫られている課題・問題と格闘したものを選定したものだ。その結果、大衆・庶民を主軸とすることに力点を置いた文化史になったと編者は述べている。

禅の至宝を一堂に 大徳寺開創700年記念し10月に特別展/東京国立博物館 非公開の千利休像など初公開

京都・紫野の大徳寺の開創700年を記念した特別展「大徳寺 本朝無双之禅苑(ほんちょうむそうのぜんえん)」が東京国立博物館で10月14日~12月6日に開かれる。これに先立ち、同博物館で特別展の概要について報道発表会があった。

米国建国250周年 盛大な祝賀行事を準備 「独立誕生の地」ボストン【文化】

今年は米国で建国250周年を迎え、連邦政府、州政府、地方自治体ではこれを祝う盛大な式典を準備している。

「アニメ東京ステーション 初夏の集い」声優によるトークショーや朗読劇も披露

東京・池袋にある「アニメ東京ステーション」でこのほど、公式ユーチューブの公開収録イベント「アニメ東京ステーション 初夏の集い」が行われた。抽選で選ばれた52人が会場を訪れた。

歌に生き「婦道の鑑」に、後藤逸女の足跡を求めて(秋田県湯沢市)

最近、気になっている女性がいる。幕末から明治にかけ秋田が生んだ「天才的な女流歌人」「近代の小野小町」と評される後藤逸女である。一農家の娘でありながら、2千首を優に超える和歌を流麗な筆で書き残した

『古墳時代の歴史』 松木 武彦著 古代国家の黎明期を大胆に【書評】

 考古学者には発掘調査を基に大胆に時代を語る人と、それを控える人とがいて、著者は前者。倉敷市の楯築遺跡を巡るシンポジウムで、「楯築は前方後円墳の原点で、ここに誕生した特殊器台祭祀は2世紀後半の倭国大乱を鎮めたのではないか」と語っていた。

『宗教のアメリカ』 藤本 龍児著 各州憲法にうたわれた「神」【書評】

 本書はアメリカの宗教について論じた本ではなく、アメリカという国それ自体が、西洋文明から受け継いだ「ユダヤ―キリスト教」的世界の上に成り立っている、ということを示した本である。

『日本共産党 悪魔の事件簿』 松崎 いたる著 元党員による内部告発集【書評】

 「殺人」「スパイ」「冤罪(えんざい)」「税金還流」「性犯罪」「海外逃亡」「謎の突然死」――。いずれも共産党員が関わった犯罪やスキャンダルだが、大手メディアは報じようとせず、「なかったこと」にされようとしている。

物語と象徴を秘めた写実 アメリカの原風景を描く 東京都美術館「アンドリュー・ワイエス展」 俳句に通じる独特の風韻も

アメリカ写実絵画を代表するアンドリュー・ワイエス(1917~2009年)の回顧展が、開館100年を迎えた東京・上野の東京都美術館で開かれている。
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