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話題の芸道映画『国宝』を観る 映像美で歌舞伎再発見

歌舞伎の世界をテーマにした芥川賞作家・吉田修一の同名小説を李相日が監督した映画『国宝』(東宝)を観(み)た。

安土桃山時代に仏都から転換 隠れキリシタンの地―福島県会津地方  

福島県会津地方は、東北でいち早く仏教文化が開き「仏都会津」として有名だ。

人工都市と古き良き里山の風景ー「よこやまの道」(東京都多摩市)

東京都町田市、稲城市、多摩市、八王子市にまたがる多摩丘陵。そこに約50年前、〝多摩ニュータウン〟が建設された。時代の流れとともに高齢化の波が押し寄せ、団地の建て替えの話も進む。多摩市は近年、遊歩道の整備を進め、健康都市宣言を掲げる。その一つに万葉集にも記されている『よこやまの道』がある

『僕には鳥の言葉がわかる』鈴木俊貴著 動物も言語を使用している【書評】

著者は2022年8月、ストックホルムで開かれた国際行動生態学会で基調講演をし、「動物言語学」について語った。

『江戸東京 庶民信仰事典』 川副秀樹編著 身近な神仏融合の宗教史 【書評】

日本は縄文時代からのアニミズム的な庶民信仰が残っていて、土地の神信仰に親和的な仏教が広がった。それは、キリスト教が世界に広がった事情と比べて明らかだ。同時に、神信仰を吸収して仏教も変容した。「草木国土悉皆(しっかい)成仏(じょうぶつ)」の平安密教はインドや中国にはない思想で、哲学者の梅原猛は日本ならではの生命哲学と高く評価している。

『ふれあう読書 私の縁した百人一冊』(下)赤松正雄著 面白い交遊書評録 【書評】

ああ、なんと不思議な本!これが、本書をめくった私の第一声である。本のタイトルからすれば、ごく普通の書評集のようだが、私が今まで見たことがない中身である。一言で言えば、わが国の全国紙や雑誌でよく見かける「刺し身のつま」的な無味乾燥な書評では全くない。

【書評】『持続可能なメディア』下山進著 技術軽視の傾向を指摘

「持続可能」とは「生存」のこと。「平和」というイデオロギーを叫ぶだけで民間企業であるメディアが存続することはない。名著『2050年のメディア』(文春文庫)の著者のコラムをまとめたのがこの新書だ。

「ふるさとの風景展 in 喜多方30周年記念展」 過去の大賞、入賞作品を一堂に

福島県喜多方市美術館で、「ふるさとの風景展 in 喜多方30周年記念展」が開かれている。風景展は平成7年の開館から続く同美術館主催の公募展で、昨年30回目を迎えた。

「七支刀」が語る日本と百済 奈良国立博物館調査 X線CTで論争の文字を判読

百済から倭王に贈られた石上神宮(奈良県天理市)の神宝で国宝の「七支刀」。左右に3本ずつ枝刃が出る特異な形をした刀身には60ほどの文字が金象嵌(ぞうがん)で刻まれ、古代東アジア史の重要な金石史料となっている。

敗戦でも滅びぬ日本の美ー川端康成『山の音』

日本の敗戦の悲しみに沈んでいた川端康成は昭和24年、再び本格小説の筆を執り、『千羽鶴』と『山の音』の2作に取り掛かった。どちらも名作の誉れが高いが、特に『山の音』は、「戦後の日本文学の最高峰に位するもの」(新潮文庫、山本健吉解説)とまで言われる。

【書評】『生きる言葉』俵万智著 自分の心の音楽を言葉にする

初めての歌集『サラダ記念日』がベストセラーになり、目の回るような忙しさにあった著者が、恩師の佐佐木幸綱に言われたのは「君は、心の音楽を聴くことができる人だから、何があっても大丈夫」。そう、詩は心の音楽を言葉にしたものなのだ。

『明治維新という物語』宮間純一著 地域それぞれで異なる維新観 【書評】

明治維新とは何だったのか。著者はさまざまな地方に目を向け、維新との関わりを調べるとともに時の中で見方が変容していく様子も示していく。

『翻訳者の全技術』山形浩生著 9割の理解ができる翻訳で  【書評】

翻訳という仕事では、言語の壁にどう向き合っているのだろうか。著者がこれまで訳してきた書をみると、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏著『21世紀の資本』(みすず書房)、ロシア大統領プーチン氏著『プーチン重要論説集』(星海社新書)、英国の作家ジョージ・オーウェル著『一九八四』(星海社、2024年)など。いずれも小難しそうという印象だ。

『歴史のダイヤグラム〈3号車〉』 原武史著 「あのとき」へのタイムトラベル  【書評】

何となく、そばに置いておきたい本、である。本書に収録されている81編のショート・エッセーは、3㌻弱で、しかも8×5㌢の関係写真付きである。全体が、第1章「時刻表から読み直す、あの事件」、第2章「皇族も政治家も、みんな鉄道を使っていた」、第3章「作家が愛した線路」、第4章「あの日の駅弁、思い出の車輛」、第5章「旅情の記憶」となっている。

武士の鑑と箱根信仰 箱根神社 居合道の剣士が演武を奉納

神奈川県箱根町の芦ノ湖のほとりに箱根神社がある。源頼朝の信仰と庇護(ひご)の中で「武家の守護神」とされ、関東総鎮守とたたえられてきた。宝物殿で特別企画展「武士の鑑と箱根信仰」が開催中だ。

「能・狂言面展」秋田面づくり同好会 趣味で作った85面を披露

能や狂言の面を趣味で作っている「秋田面づくり同好会」(船木あつ子会長代理)の「能・狂言面展」が先日、秋田市のアトリオンで開かれた。会場には女面(おんなめん)や髭景清(ひげかげきよ)、三光尉(さんこうじょう)など喜怒哀楽を表現した多彩な85面が出展された。銅板の象嵌(ぞうがん)を施したものもあり面の魅力の一端に触れることができた。

音楽と共に味わう新世代の展覧会 モネやロスコの絵画世界を体験【フランス美術事情】

20世紀は二つの大戦での痛ましい世紀だった。美術の世界も19世紀までに見たことのないおどろおどろしさもテーマになったことで、現代美術は美を追求するより、醜さを含んだリアリティーが追求され、美に癒やしを求める人々を芸術の世界から遠ざけた。

新緑の「雄国せせらぎ探勝路」を歩くー福島県裏磐梯・雄国沼(福島県北塩原村)

福島県・裏磐梯の雄国沼は、周囲を猫魔ヶ岳、古城ヶ峰、雄国山などの山々に囲まれて標高1090㍍にたたずむ天上の湖沼だ。雄国沼湿原植物群落は国の天然記念物に指定されており、6月下旬から7月初旬にはニッコウキスゲの大群落が見頃を迎える。「雄国せせらぎ探勝路」を歩いた

『47都道府県・城下町百科』野間晴雄編著、山近博義・矢野司郎・関口靖之・石坂澄子著 【書評】

江戸幕府は元和元(1615)年、豊臣秀頼を大坂城で滅ぼした2代将軍徳川秀忠が一国一城令を出した。一国に大名が居城あるいは政庁とする城郭は一つに限り、その他は全て廃城にするという大名統制令。直後に出した武家諸法度(ぶけしょはっと)では新城建設、居城の無断修補を禁じた。

『裁判官の正体』井上薫著 元当事者が語った内幕【書評】

検事や弁護士は分かりやすいが、裁判官は分かりにくい。元裁判官が「裁判官はこういう者です」と語ったのがこの本だ。

『ハイエク入門』太子堂正称著 「自生的秩序」形成への道 【書評】

『隷属への道』の著者フリードリヒ・ハイエク(1899~1992年)は、ファシズムや共産主義など全体主義と対峙(たいじ)した経済学者として知られてきた。が、彼の経済理論は一般にはほとんど知られておらず、一貫して主張した「自生的秩序」論を理解するためにはその理解が不可欠だと著者は言う。

『こえび隊、跳ねる!』こえび隊編著、北川フラム監修 瀬戸芸を支えるボランティアたち【書評】

石破首相が看板政策の地方創生を進めるため、居住地以外で継続的に関わる自治体を登録する「ふるさと住民登録制度」を創設するという。

淡く切ない恋を清冽に モデルの地、鶴岡市に点在ー藤沢周平『蝉しぐれ』

藤沢周平の長編時代小説『蝉しぐれ』は、下級武士の家の養子となった主人公・牧文四郎が隣家の娘・小柳ふくの蛇に噛(か)まれた指から毒を吸い取るという冒頭の章「朝の蛇」から始まる

『アジア系アメリカを知るための53章』李里花編著歴史的背景と現在を描く【書評】

アメリカ合衆国の「アジア系」の人口は、現在、2400万人であり、総人口の約7・2%を占める。その最大国は中国系であり、19世紀半ばのゴールドラッシュに労働移民として大量入国する。

『潤日』舛友雄大著 形成される中国人コミュニティー【書評】

日本語ができないにもかかわらず、中国のアッパーミドル層を中心に日本へ居住希望の人々が増加している。友人の死をきっかけに、その背景にある理由や日本での中国人の暮らしぶりを著者が丹念に取材し、浮き彫りにしたのが本書だ。

『田んぼのまん中のポツンと神社』 えぬびい写真・文 圃場整備が生んだ日本的風景【書評】

田舎を旅すると、田んぼの中にポツンと立つ小さな神社をよく見かける。郷愁を感じさせる日本的風景の一つだ。廃虚や電話ボックス、秘境など各地の不思議な場所を取材している著者が、そんな神社を集めた写真集。関東から東北が多いのは水田開発の歴史による。

『中央線随筆傑作選』南陀楼綾繁編 沿線に芸術家・文化人が集う【書評】

中央線というのは、東京~名古屋を走る中央本線のうち、東京~高尾間のことを呼ぶそうだ。その前身、甲武鉄道が新宿~立川間を結んで開業したのは1889年。1906年に国有化された。

商家の旦那衆の社交場ーひがし茶屋街(石川県金沢市)

百万石の城下町・金沢の代表的観光スポット、「ひがし茶屋街」を歩いた。重要伝統的建造物群保存地区に指定された茶屋街で、格子造りのお茶屋の建物が軒を連ねる。江戸時代末期にできたお茶屋の中を見学し、町家を改造したカフェや甘味処では、金沢ならではのこだわりのスイーツを楽しむことができる

【書評】『奈良時代の大造営と遷都』小笠原好彦著 遺跡が語る仏教立国の歩み

聖武(しょうむ)天皇の命日とされる5月2日、東大寺で聖武天皇祭が営まれた。大仏殿での法要は外国人を含む多くの観光客が見守り、聖武天皇の発願(ほつがん)で造立された大仏の国際的な開眼(かいげん)供養をしのばせていた。

『正岡子規』坪内捻典著 現代日本語を作った俳句革命家【書評】

子規について司馬遼太郎は『坂の上の雲』で「俳句、短歌といった日本のふるい短詩型に新風を入れてその中興の祖になった」としている。

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