書評の最新記事

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『大統領に告ぐ 硫黄島からルーズベルトに与ふる書』門田 隆将著 地下壕で書かれた少将書簡【書評】

先の大戦末期、硫黄島での戦いは熾烈(しれつ)を極めた。その戦闘のさなか、日本軍将校によりアメリカ大統領宛てに書かれた手紙に関しての経緯をまとめている。

『エベレストは居酒屋です』渡邊 直子著 圧倒的景色に悩みは小さく【書評】

 タイトルに驚かされた。世界一高い山と庶民のくつろぎの場とは結び付きにくいからだ。

『関係人口の時代』田中 輝美著 観光以上、定住未満で繋がる【書評】

毎年、山梨県の人口に当たる80万~90万人が減少し、地域消滅が現実となった時代に、注目されているのが「観光以上、定住未満」の関係人口である。

「中国共産党が語れない日中近現代史」兼原 信克、垂 秀夫 著 【書評】

 中国の近代史は、共産党の秘密主義と宣伝工作によって、大きく歪(ゆが)められてきた。これを痛感してきたのは二人著者である前中国大使の垂(たるみ)秀夫氏と、安倍官邸で外交のキーマンだった兼原信克氏。

「終章ナチ・ハンター ナチ犯罪追及 ドイツの80年」 中川 竜児 著【書評】

ドイツ・ベルリンのシンボルとされているブランデンブルク門のすぐ近くに、2700基以上のコンクリート製の石碑が並んでいる。第2次大戦期にホロコーストで犠牲になったユダヤ人を追悼する「ヨーロッパのユダヤ人のための記念碑」である

「歌よみに与ふる書」正岡 子規著、永井 祐翻訳【書評】

 「紀貫之は下手な歌人であって、『古今和歌集』はくだらないアンソロジーである」(「再び歌よみに與ふる書」翻訳)と子規が新聞「日本」に書いたのは明治31年、若過ぎる死の4年前だった。明治26年に同紙に俳論を連載し、俳句革命を主導してから6年後のこと。

『北方領土を知るための63章』名越 健郎・大野 正美・常盤 伸・小泉 悠編著【書評】

 75年ほど前、私は札幌の小学生高学年だった。夏休みに銭函(ぜにばこ)海水浴場に汽車に乗って行った。海水浴期間は10日くらい。だから海水浴場は混み合っていた。

「山岳信仰と修験道」 鈴木正崇著【書評】

 著者によると、幕末に17万人いた修験者は、山岳修行で得た験力(げんりき)により、庶民の健康から経済、心の問題までの日常的な悩みの相談に乗り、解決を助けていた。それが慶應4(1868)年の神仏判然令と明治5年の修験宗廃止令で一挙に失職した影響は大きかった。

「凪の人 山野井妙子」柏澄子著 【書評】

 山野井妙子さんは世界的なアルペンクライマーだ。2002年には夫・山野井泰史さんと中国チベット自治区にあるギャチュン・カン(7952㍍)北壁に登り、その功績により夫婦で植村直己冒険賞を受賞。

『リベラリズムという妄想』 ジョン・J・ミアシャイマー著、新田 亨子訳【書評】

 国際政治学者として有名な米国シカゴ大学のジョン・J・ミアシャイマー氏は「現実主義(リアリズム)」、その中でも特に「攻撃的現実主義(オフェンシブ・リアリズム)」の論客として知られるが、この本はその視点から「リベラルな覇権」という外交政策を痛烈に批判した一冊だ。

『バッハ 無伴奏チェロ組曲』スティーヴン・イッサーリス著、松田 健訳 【書評】

 著者は英国を代表する世界的チェロ奏者。本書はバッハのチェロ組曲集について、たゆみない研究と演奏体験から独自の考察をつづったガイド。

真珠湾攻撃の“定説”覆す 『真珠湾攻撃 ルーズベルトは知っていた』 白松 繁著【書評】

先の大戦における日本軍による真珠湾攻撃について、フランクリン・ルーズベルト米大統領は直後の議会演説で「日本は意図的に合衆国を欺こうとした」と非難した。結果、日本軍が平和交渉中に通告なく「騙(だま)し討ち」したとの説が広がった。

大日の使徒 川越 宗一著 ザビエル案内したヤジロウ【書評】

 キリスト教の「デウス」を密教でいう大宇宙本体の大日如来に模して「ダイニチ」と訳したのは、ザビエルを日本に案内したヤジロウとされる。

「大人の幸せは静かだ」テス著 大嫌悪時代を平凡に生きる【書評】

 現代の韓国社会はとても生きにくい社会であるようだ。夢はかなえ難く、心に傷を負った人は多く、平凡な幸福さえ得ることが難しい。著者は30代後半のエッセイストで、このエッセー集は20万人もの読者が共感したベストセラー。平凡に生きることの中に豊かさのあることを気付かせてくれる。

匿名への情熱 和田純著 政治と学識結んだ楠田實【書評】

 産経新聞の政治記者だった楠田實が、ケネディ米大統領が優秀なブレーンとの対話を基に政権を運営したのを知り、佐藤栄作に同様のブレーン設置を提案したのは佐藤内閣誕生の1年前。

体験からの同時代史的言葉『言葉の風~人にも動物にも愛の風を~』【書評】

最近、日刊紙の「読者発言欄」などに80代後半くらいの方たちの「発言」が目立っている。管見だが、男性の場合、80歳という年齢は大きい人生の峠のようである。

小泉八雲「見えない日本」を見た人 畑中 章宏著【書評】

 ラフカディオ・ハーンの来日は明治23年で、29年に帰化して小泉八雲と名乗り、『怪談』などを著して37年に54歳で没した。

「中国」という捏造 ビル・ヘイトン著、小谷 まさ代訳 【書評】

 「中国はどのような国になろうとしているのか?」こうした問いから本書は始まる。この国の成長を商取引や投資のチャンスと捉える風潮がある一方、不安を抱かないものは少ない。

「地球の歩き方 ハプスブルク帝国」【書評】

 とうとうこのテーマの本が出版された、これが私の第一声であった。日本の大学では欧州各国史が主流なので、このテーマの講座はない。ご苦労様でしたと言いたい。

「中国に媚びるな」石 平・金 文学共著【書評】

 二人の著者が中国の国民性を主題にして日韓中の文化の違いを論じた対談集。対談はテーマを決めて8回行われ、月刊『WiLL』(2024年11月~25年5月号)に掲載された。

『定年後の日本人は世界一の楽園を生きる』 佐藤 優著 【書評】

 背任と偽計業務妨害容疑で逮捕され有罪確定になり、さらに「余命」宣告を受けるなど、波乱万丈な人生を生き抜いている評論家・佐藤優氏による定年後の人生の手ほどき本だ。 

「過去と思索(7)」ゲルツェン著 西欧の大変動の終焉を見る 【書評】

近代ロシアの知識人は国家の改革を推進するために西洋の知識と技術を学んだ。

外国人だから気付く特徴 「日本語教師、外国人に日本語を学ぶ」北村 浩子著 【書評】

 日本を訪れる外国人が増え続けている。観光地を巡ったり、美味(おい)しいものを食べたりするだけでなく、日本の文化、伝統を学び、その背景にある日本語に興味を持ち、学び続ける外国人もいる。

「コメ壊滅」 山口 亮子著 適正な価格形成は可能か 【書評】

 農水省出身の鈴木憲和農相は就任後の記者会見で、「価格はマーケットの中で決まるべきもの」と断言し、同時に現状で購入できない国民には、お米クーポンなどの対応が考えられるとした。

【書評】非日常に身を置き感性磨く 『インテグリティが浸透する コンプライアンス・カルチャーの創り方』中山達樹著

 2024年末に中居正広氏の女性アナウンサーに対する性的不祥事が発覚し、フジテレビの経営陣の辞任や企業体質への批判に発展した。これに代表されるように、最近、企業・組織で不祥事が後を絶たない。

【書評】「食料安全保障と農政改革」 荒川隆著 消費者交え合理的価格形成を

 気候変動をはじめコロナ禍やロシアのウクライナ侵攻を機に食料安全保障の重要性が認識されたのを背景に令和6年、食料・農業・農村基本法が改正された。

【書評】「田沼意次の時代」大石 慎三郎著 悪評覆し「優れた財政家」に

 田沼意次は日本史の中の三大悪人の一人とされ、賄賂によって政治を左右する最悪の政治家として評価されてきた。他の二人、弓削道鏡(ゆげのどうきょう)と足利尊氏は、敗戦で皇国史観が消えたことで評価が変わったが、田沼意次についてはそのまま。

「モンゴル帝国 草原のダイナミズムと女たち」 楊 海英著 【書評】

 ソ連崩壊後、中央アジアの諸国が独立することによって、ユーラシア大陸で繰り広げられたモンゴル史への研究視点が変わった。歴史の現場と史料群に直接立ち入ることができるようになり、かつて支配的だった中国やロシアを軸とした見方に修正が加えられる。

『電子を知れば科学がわかる』 世界を動かす小さな粒子 【書評】

 目に見えない小さな電子が、世界を動かしている。電気も化学反応も情報通信も、すべては電子の振る舞いに支えられている。江馬一弘著『電子を知れば科学がわかる』は、この一粒子を軸に科学の全体像を描き出す意欲作だ。

「稼ぐ小国」の戦略 関山 健・鹿島平和研究所編著【書評】

 最新の1人当たりGDP世界ランキングで日本は36位。韓国は31位、台湾は35位だ。上位10は7位の米国以外は小国で、特徴的な国家戦略で豊かさを確保している。
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