【社説】辺野古訴訟 沖縄県は移設遅らせるな

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に伴う工事の設計変更を巡る裁判で、最高裁第1小法廷は、沖縄県の上告を棄却。埋め立て工事の設計変更を認めるよう県に迫った国土交通相の是正指示を「適法」と判断した。辺野古移設を加速させたい政府にとっては追い風となる判決となったことを歓迎する。

当事者の声に耳を傾けよ

軟弱地盤改良工事のための設計変更申請を不承認とした県に対し、国交相は不承認を取り消す「裁決」と、承認するよう求める「是正の指示」を行った。これを県が拒否したことで訴訟につながった。

玉城デニー知事は2018年、辺野古移設に反対する「オール沖縄」勢力の支持を受けて、初当選。昨年の知事選でも辺野古反対を公約の「一丁目一番地」に掲げて再選した。

埋め立て工事は18年に始まった。移設は当初、8年で完了するとされたが、埋め立て予定地東側の海域で軟弱地盤が見つかったため工期が12年に延びた。さらに県が埋め立て不承認としたことで遅れている。これは、移設元の普天間飛行場の「早急な危険性除去」が遅れることを意味する。

宜野湾市の松川正則市長は、「(移設が)大きく動くのではないか」と最高裁判決を歓迎。移設先である名護市の渡具知武豊市長も「裁判の推移を見守る」という立場だが、事実上、移設を容認している。知事はこうした当事者の声に真摯(しんし)に耳を傾ける必要がある。

敗訴を受けて知事はどのような判断を示すかが注目される。すんなり設計変更を承認し、着工に向かうことは考えにくい。承認すれば、玉城知事は選挙公約を破ったとのそしりは免れず、求心力は一気に低下する。

そこで①県は判断を示さず、国が代執行手続きを開始する②変更承認するものの、サンゴの移植など別の訴訟を提起する③新たな理由をつけて県が埋め立てを「不承認」とする――という三つのケースが考えられる。ただ、いずれのケースも県の時間稼ぎとの批判は免れない。

移設を巡る訴訟はこれだけではない。15年10月、玉城知事の前任の翁長雄志氏が辺野古の埋め立て承認を取り消して以降、辺野古移設に関連して県と国の間で13件の訴訟が起きている。結論が出るのは今回の判決が11件目。7件で県が敗訴、4件で県または国が訴訟を取り下げた。残る2件も、最高裁がこれまでの訴訟の中で法的判断を示していることから、県が敗訴する見通し。これ以上、いたずらに裁判を行って移設を遅らせることは県と国の両者に利益にならないことは明らかだ。

安全保障脅かす国連利用

移設反対派に突き動かされた知事の視線は国際社会に向かっている。今月にも、スイス・ジュネーブの国連人権理事会で演説し、辺野古移設反対を訴える意向だ。「沖縄県民は差別されている」という国との対立構図を作り上げ、国際世論を味方に付けようとすることが考えられる。こうした分断工作は国益に反するだけでなく、東アジア地域の安全保障を危うくするものでしかない。

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