トップオピニオン社説大阪・関西万博 成功へ内外への発信強めよ【社説】

大阪・関西万博 成功へ内外への発信強めよ【社説】

大阪・関西万博の開幕を前に行われた、来場者を入れたリハーサル=5日、大阪市此花区

「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに大阪・関西万博が13日に開幕する。国内外への発信をさらに強め、世界158カ国・地域が参加し、大阪では1970年以来2回目となる万博を成功させたい。

伸び悩むチケット販売

大阪市の人工島・夢洲を会場に半年間にわたって開催。2820万人の来場者数、2兆9000億円の経済効果が見込まれている。何より未来社会建設のための日本や世界の国々のビジョン、企業の先端技術を世界に発信するイベントである。インバウンド客の誘致にも一役買うことが期待される。

2018年11月に開かれた博覧会国際事務局(BIE)の総会で開催が決まり、23年4月には起工式が行われた。しかし、物価高騰の影響で会場建設費は当初計画の1・9倍となる2350億円に増えた。24年には運営費も当初比1・4倍の1160億円に引き上げられ、批判を浴びた。

さらに「万博の華」とも言われる海外パビリオンの建設を巡っては資材価格の高騰、人手不足、建設会社との調整の難航などで遅れが表面化した。こういった問題が報じられる中、入場券の販売枚数は今月2日の時点で開幕までの目標1400万枚の62%の約870万枚にとどまっている。

国民の関心が十分高まらないうちに開幕を迎えることとなったが、開催期間は184日間と長い。今後、多彩な見どころや楽しみ方が伝われば、チケットの販売の遅れは十分取り戻せるはずだ。

1851年のロンドン万博以来、万博はその時代の先端技術を披露する国際イベントとして人気を集めてきた。しかし、交通手段やメディアの発達で万博開催の意義は薄れていった。そういう中で、BIEは万博を「国家の見本市」から「地球規模の課題の解決策を考える場」と位置付けるようになった。

近年はIT化による情報革命で、家の中でもさまざまな情報の取得や疑似体験が可能となった。そういう環境が人々の出足を鈍くしている可能性もある。しかし、百聞は一見に如(し)かずだ。

1970年の大阪万博では米国のアポロ計画で宇宙飛行士が持ち帰った「月の石」が人気を集めたが、今回も55年ぶりに米国館で展示される。日本館では世界最大級の火星由来の隕石(いんせき)「火星の石」も展示される。その他、新時代を予感させる見どころは数多い。

安全安心に十分な配慮を

日本国際博覧会協会では「並ばない万博」を掲げているが、リハーサルの「テストラン」では、金属探知機を使った手荷物検査などで手間取り、入場時に1時間以上待たされるケースも出ている。また、多くのパビリオンが事前予約制を導入。当日に予約してスムーズに入場できるかどうかは来場者の満足度や評判に大きく影響する。開幕して初めて浮かび上がる課題も少なくないと思われるが、素早い対応が必要だ。

学校の夏休み期間は、来場者が多くなることが予想される。熱中症への対策も欠かせない。テロへの警戒も含め安全安心に十分な配慮を行ってほしい。

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