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人生の些事を愛おしむ 新宿駅西口の昭和の薫りー庄野潤三『秋風と二人の男』

庄野潤三の短編『秋風と二人の男』は、そろそろ初老に差し掛かった二人の男が東京のターミナル駅の近くにあるデパートの地下レストランで飲食をするという、それだけの話である。

小泉八雲の心捉えた石狐 剛健さと威風の天守閣ー松江城とその周辺(島根県松江市)

小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が、妻セツと暮らした松江市のシンボル、松江城。その現存天守閣は、五つしかない国宝の一つだ。城の周辺には小泉八雲の記念館と旧居のほか、八雲がよく足を運んだ城山稲荷神社などゆかりのスポットがある。

心の傷のうずきから参禅へ 円覚寺の名僧の偉大さ描くー夏目漱石『門』

山門を入ると、左右には大きな杉があって、高く空を遮っているために、路が急に暗くなった。その陰気な空気に触れた時、宗助は世の中と寺との中との区別を急に覚った

「小我」を捨てた大山体験 自然豊かな山岳霊場ー志賀直哉『暗夜行路』後篇

志賀直哉の唯一の長編小説『暗夜行路』の前篇は、主人公・時任謙作が放蕩(ほうとう)に耽(ふけ)るところで終わる。後篇では、そんな生活から脱却し、人生を立て直そうと京都に転居した謙作が妻となる直子を見初める話から始まる

「武装中立」掲げた継之助 記念館ではガトリング砲展示ー司馬遼太郎『峠』

幕末の越後長岡藩士、河井継之助(かわいつぎのすけ)(1827~1868年)の生涯を描いた司馬遼太郎の歴史長編小説『峠』は、それまでほとんど無名に近かった地方の一藩士にスポットを当て、彼の名を一躍世に知らしめた。

神秘的美しさ、湖面と山々に癒やし 御座神社と辰子姫像ー田沢湖(秋田県仙北市)

春夏秋冬、伝説に彩られ神秘的な美しさをたたえる田沢湖を車で半周した。国内外の人たちと会話の時間を楽しむ。意外と面白かったのが「思い出の潟(かた)分校」。周辺にはスキー場や多彩な温泉と楽しみが多い。

孤独な心癒した尾道の風光 『東京物語』誕生の背景にもー志賀直哉『暗夜行路』前篇

 『暗夜行路』は、「小説の神様」志賀直哉が25年近い歳月をかけて完成させた唯一の長編小説である。祖父と母親の間に生まれた不義の子という暗い宿命を背負う主人公・時任謙作が、その宿命に抗(あらが)いながら生きていく姿を描いている。

遊行寺と共に発展した街 意外と知られていない歴史ー湘南・江の島の玄関口(神奈川県藤沢市)

今年もあとわずか。この季節になると、年始の風物詩、箱根駅伝の話題が少しずつ人々の口に上ってくる。その箱根駅伝の中でも難所の一つが「遊行寺(ゆぎょうじ)の坂」だ

弱き信仰者のための文学 “受難の長崎”で踏絵と出合うー遠藤周作『沈黙』

遠藤周作(1923~96年)が「神の沈黙」という宗教や信仰を超えた根源的な問いに切り込んだ小説『沈黙』。この作品が生まれたのは、遠藤が仕事の合間にふらりと訪れた長崎で偶然「踏絵」を目にしたことがきっかけだった。

老舗旅館2軒の対立と和解 「松坂屋」の家族をモデルにー獅子文六『箱根山』

作者・獅子文六が興味を引かれたのは「ケンカばかりしている山のこと」だったが、魅力的だったのは箱根の歴史。修験道の発達、関所の開設、文人たちが集まった芦之湯の東光庵…。

大正・昭和のレトロ建築 ステンドグラス輝く開港記念館ー横浜三塔 (神奈川県横浜市)

「横浜三塔」とは、横浜のシンボルとなっている三つの建物で、神奈川県庁舎、横浜税関、横浜市開港記念館。順番に「キングの塔」「クイーンの塔」「ジャックの塔」の愛称を持つが、これは横浜港に入港した外国人船員たちが、トランプの絵札に見立てて名付けたものという。

民間伝承を文学に昇華ー柳田國男『遠野物語』

『遠野物語』は、柳田國男が岩手県遠野出身の佐々木喜善から聞いた郷土の伝承を簡潔な文語体でまとめ明治43年に発表したもので、日本民俗学の先鞭(せんべん)をつけた傑作である。

山上は避暑地として人気ー六甲高山植物園 (兵庫県神戸市)

標高931メートルの六甲山上は神戸市街地に比べ気温が5~6度も低く、絶好の避暑地として親しまれている。中でも六甲高山植物園は高山植物を自然に近い状態で観賞できるのでお勧め。

戦中派の微妙な心理ー阿川弘之『鮨』

『山本五十六』『米内光政』『井上成美』の海軍提督三部作をはじめ、海軍物の評伝が代表作の阿川弘之は、文壇デビューの頃から短編の名手でもあった。「新潮」平成4年1月号に発表された『鮨』は、著者最晩年の短編。若い頃とは違う円熟した味わいの名編だ。

薩摩隼人が生きた城下町ー司馬遼太郎『翔ぶが如く』

「濃い群青の錦江湾に浮かぶ桜島の山容とその色彩が、どの名陶をも見すぼらしくさせてしまうほどの凄みをもって迫ってくる」と、司馬遼太郎は桜島の感想を残した

えのすい特別企画展 「イルカとクジラ Coool Dolphin」ー新江ノ島水族館

2004年にリニューアルオープンしてから今年で21年。新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)はイルカとクジラをテーマにえのすい特別企画展「イルカとクジラ Coool Dolphin」を7月4日から開催中

夏真っ盛りの江の島を行くー観光と歴史が交わる島

東京・新宿から小田急ロマンスカーで約70分、特急と在来線を使っても2時間はかからない観光地、江の島(神奈川県藤沢市)。夏のシーズン(7月1日から8月31日まで)は、数多くの観光客などで連日賑(にぎ)わっている。夏真っ盛りの7月中旬に足を運んだ

青年たちの結婚巡る悲劇ー遠藤周作『さらば、夏の光よ』

<お茶の水駅で下車して、改札口に近い構内の電気時計を見る時は、必ずといっていいほど、針は十時を十分ほどすぎていた>小説の登場人物の一人、遠藤周作先生はB学院の講師で、フランス文学の授業を担当している。「また遅刻をしたな」と思いながらも、足を早めることはせず、静かな屋敷町に向かって歩いていく。

人工都市と古き良き里山の風景ー「よこやまの道」(東京都多摩市)

東京都町田市、稲城市、多摩市、八王子市にまたがる多摩丘陵。そこに約50年前、〝多摩ニュータウン〟が建設された。時代の流れとともに高齢化の波が押し寄せ、団地の建て替えの話も進む。多摩市は近年、遊歩道の整備を進め、健康都市宣言を掲げる。その一つに万葉集にも記されている『よこやまの道』がある

敗戦でも滅びぬ日本の美ー川端康成『山の音』

日本の敗戦の悲しみに沈んでいた川端康成は昭和24年、再び本格小説の筆を執り、『千羽鶴』と『山の音』の2作に取り掛かった。どちらも名作の誉れが高いが、特に『山の音』は、「戦後の日本文学の最高峰に位するもの」(新潮文庫、山本健吉解説)とまで言われる。

新緑の「雄国せせらぎ探勝路」を歩くー福島県裏磐梯・雄国沼(福島県北塩原村)

福島県・裏磐梯の雄国沼は、周囲を猫魔ヶ岳、古城ヶ峰、雄国山などの山々に囲まれて標高1090㍍にたたずむ天上の湖沼だ。雄国沼湿原植物群落は国の天然記念物に指定されており、6月下旬から7月初旬にはニッコウキスゲの大群落が見頃を迎える。「雄国せせらぎ探勝路」を歩いた

淡く切ない恋を清冽に モデルの地、鶴岡市に点在ー藤沢周平『蝉しぐれ』

藤沢周平の長編時代小説『蝉しぐれ』は、下級武士の家の養子となった主人公・牧文四郎が隣家の娘・小柳ふくの蛇に噛(か)まれた指から毒を吸い取るという冒頭の章「朝の蛇」から始まる

商家の旦那衆の社交場ーひがし茶屋街(石川県金沢市)

百万石の城下町・金沢の代表的観光スポット、「ひがし茶屋街」を歩いた。重要伝統的建造物群保存地区に指定された茶屋街で、格子造りのお茶屋の建物が軒を連ねる。江戸時代末期にできたお茶屋の中を見学し、町家を改造したカフェや甘味処では、金沢ならではのこだわりのスイーツを楽しむことができる

深川で迎えた人生の転機 新たな句境求めて旅路にー中山義秀『芭蕉庵桃青』

隅田の長江に鱸(すずき)のをどる、初秋の季節となつた。天地がにはかに明るく、ひろびろとしてきた感じである。芭蕉は読みかけの冊子をそのままひとり、文台によつて長江にむかつて舟のゆききを眺めてゐる。なかば放心のていで、時たつてもその姿勢をくづさない

パワースポット葛原岡神社ー尾根から遠望する相模湾

山々が相模湾を囲むように鎌倉の街を取り巻いている。自然の豊かな街で谷戸が奥深く入っている。市街地の西側、南北に走る尾根をたどるのが葛原岡・大仏ハイキングコースだ。約3㌔。街は東側に広がっている。歩いてみると意外に小さな街だと分かる

昭和の銀座にタイムスリップ 築地川は道路と公園にー三島由紀夫『橋づくし』

今年生誕100年を迎える三島由紀夫は、短編でも優れた作品を多数残した。中でも評論家の奥野健男が「憎らしいほど巧みな小説」と評するのが、銀座・築地界隈(かいわい)を舞台にした『橋づくし』だ

華やかな平安京の趣を今に 世界文化遺産「平等院」ー京都府宇治市

京都の南に位置し、神社仏閣や緑茶の生産地として知られる宇治市。10世紀に建てられた仏教寺院の平等院には、天下泰平の象徴とされる鳳凰を冠した鳳凰堂が優美な姿を見せる。境内のノダフジやツツジもちょうど見ごろである。隣接する「鳳翔館(ほうしょうかん)」は平等院に伝わる宝物を展示する博物館として見逃せない。宇治川の中州に整備された公園「中の島」を散策すれば意外と面白い発見も

文豪に愛された団子坂 言文一致で近代小説を牽引ー二葉亭四迷『浮雲』

二葉亭四迷(ふたばていしめい)(1864~1909年)の代表作『浮雲』の登場は、日本文学史における事件だった。

桜とミズバショウが見頃、早春の角館とその周辺ー秋田県仙北市

東北に春がやってきた。この時期、秋田県の一番人気は仙北市角館(かくのだて)の桜だが、田沢湖に近い刺巻(さしまき)湿原のミズバショウは心洗われるすがすがしさがある。その途中の「森の駅」は規模は小さいがホッとする空間。そして角館の武家屋敷も興味深い

祖霊が鎮まる山の麓で 生と死、自分を見詰め直すー森敦『月山』

1974(昭和49)年に芥川賞を受賞した森敦の小説『月山(がっさん)』は、山形県朝日村(現鶴岡市)にある真言宗注連寺(ちゅうれんじ)に滞在した彼の実体験を基に書かれた。森は鶴岡市内にある別な寺の住職から紹介され注連寺を訪れる
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