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選択的夫婦別姓 家族制度を守る気概持て【社説】

選択的夫婦別姓を導入するための法案が今国会中に成立する可能性が低くなってきた。立憲民主党が導入に向けて衆院に提出した民法改正案には他党の賛同が広がらない。独自案提出の動きを見せる野党もあり対応はバラバラだ。

立民法案に賛同広がらず

今国会で成立させて夏の参議院選挙を有利に戦いたい立民にとっては誤算だろうが、家族制度を混乱させ日本の将来を危うくする法案だから、他党が同調しないことは一応評価したい。しかし、自民党はじめ他党も参院選を前にした党利党略での対応に終始し、日本の家族制度の根幹を揺るがさないとの信念が伝わってこないのは残念だ。

立民案は夫婦別姓を選択する場合、生まれてくる子供の姓は結婚時に決めるとした。法施行から1年以内は、経過措置として、結婚で姓を変更しても元に戻せることも盛り込んだ。現段階で、これに賛成するのは共産党と社民党だけだ。

夫婦で別姓を選択することを認める制度では、子供の姓の決め方が問題となっている。立民は当初、子供の出生時に両親の協議で決めるとしていた。しかし、これでは子供の間で姓が異なるケースも生まれるので方針転換した。

それでも、片方の親とは別姓となるのは必然で、導入を推進する限り、子供の気持ちを軽視すると批判される。出産を前提に結婚を考えているようにも受け取れるから、違和感を持つ党支持者もいよう。

現行の夫婦同姓では、結婚による改姓で不利益を被る人がいる。多くの場合、それは女性だから、女性の人権を守るとの理由で選択的夫婦別姓の導入が主張されている。左派政党が導入に熱心なのはこの論理からだ。

だが、問題の本質は社会の根幹を成す家族制度を崩壊させてしまうことだ。現行制度では、姓は「家族の呼称」だが、別姓制度ではそれがなくなってしまうのだ。にもかかわらず、自民内にも推進派が少なからず存在するのは、党のリベラル化を象徴するものだと言える。

その筆頭は石破茂首相だ。もともと導入に前向きだったが、ここに来て慎重姿勢に転換している。

党内は保守派を中心とした導入反対派とリベラル思想を持つ推進派で割れている。首相は参院選を前に党が混乱するのを避けたいのであって、家族制度についての深い見識から慎重姿勢を取っているのではない。

選挙への思惑先行に失望

党も今国会中の独自法案提出を見送る方針を固めた。推進法案の提出を強行されるよりはましだが、政権の信念のなさには有権者もあきれているはずだ。

日本維新の会と国民民主党は独自案の提出を模索する。維新は、同姓制度を維持する一方、結婚前の姓を通称として戸籍に記載し、通称に法的根拠を与えて改姓による不利益を解消する法案要綱をまとめている。

国民民主には、立民案に賛同する推進派もいれば、参院選で保守層を取り込みたい思惑を持つ慎重派もいる。日本の将来を見据え、家族を守るとの気概がないところは自民と同じで、失望を禁じ得ない。

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