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大砲とバター 米政権の強まる要求 米を潤す考えから転換を

トランプ関税政策の行方がまだ明確ではない。しかし、自動車が関税交渉から除外になれば、日本の産業に与える影響は大きい。1980年代、プラザ合意に始まった貿易摩擦交渉は、結果的に円高不況がバブル崩壊をもたらし、アメリカ流のグローバリゼーションが市場原理を促し、経済社会が二極化した。ならば、今回の関税交渉いかんで、日本は再び困難な状況を迎えるかもしれない。

中国製技術導入の戦略的リスク 脅かされる国家安全保障

「21世紀は情報を制する者が世界を制する」この言葉は、小生の恩師で『悪の論理:地政学とは何か』の著者である、故・倉前盛通先生の予言的名言である。世界がトランプに振り回されているうち、中国は巧みに情報を制しようとしている。 

現実味帯びる習氏独裁体制の終焉 シンガポール前首相夫人が痛罵論評転載

4月21日、シンガボール前首相李(リー)顕龍(シェンロン)氏の夫人である何(ホー)晶(チン)氏はフェイスブックにおいて、別人が「習近平」について書いた論評を転載したことで世界の中華系社会で大きな波紋を呼んでいる。それを書いたのはシンガポール唯一の政権党・人民行動党のブレーンのMichael Petraeus氏である。

中国のサイバー経済戦 軍事侵攻せず台湾支配も

台湾で電気が突然消えたらどうなるか想像してみてほしい。経済は完全に停止する。冷蔵庫がなければ食料品は腐る。インフラは機能しなくなる。病院の患者は、命に関わる重要な機械が停止して死ぬかもしれない。

マズロー説と労働者への取り組み 5段階の欲求実現支援を

わが国では、新卒の約3人に1人が3年以内に退職していることが問題になっている。そこで、新卒だけではなく一般的な労働においても、よりモチベーションが上がり、やりがいを覚える方法が基本的に必要であると考えられるため、米国の心理学者アブラハム・マズローの欲求段階説を基に考えてみよう。この説は個人の自己実現に対する欲求で、経営側のマネジメントまでに応用されている。ここでは基本的に、どのようなことに心掛ければ、より生きた達成感を提供できるのかを考察する。

「日本が一番好き」76%の衝撃 親日本・台湾の熱い期待

「台湾を除き、あなたの最も好きな国(地域)はどこですか(一つのみ選択)」という質問に、76%の台湾人が「日本」と回答した。第2位は韓国の4%、第3位は中国とアメリカが3%で並んだ。

ユーラシア権威主義勢力との百年戦争 欧州中心の冷戦終焉史観

アジア版NATO(北大西洋条約機構)結成という石破茂首相の主張は、極めて評判が悪かった。各国が対ソ脅威で一致していた冷戦期欧州における集団防衛機構の構想を、時代も地政的環境も大きく異なる現在のアジアに当てはめようとした点に問題があるからだ。

中国共産党の「屈辱の世紀」愛国に見せ掛けた裏切り

中国共産党を信じるなら、それは中国人民の無私の守護者であり、国家再生のためにたゆまぬ努力を続け、片手に赤旗、片手に平和の鳩を掲げて「屈辱の世紀」の暗雲を振り払うだろう。

トランプ関税の危うさを問う 諸外国との協定反故に

米国の第47代トランプ大統領は、選挙公約に従うとして「相互関税」を筆頭に大規模な関税引き上げ(トランプ関税)を実施した。

沖縄の日本復帰53周年に思う 選ばなかった「琉球独立」

5月15日は沖縄の日本復帰の日である。今年で53年目となった。改めてその意味することを書いてみたい。1972年に沖縄が復帰した時、私は小学校6年生であった。復帰運動の中心的な担い手であった先生たちの思いは小学生にも伝わっていたので、私たちも日本復帰の日が楽しみであった。

米国は戦場バイオ技術で中国に遅れ 立法措置が早急に必要

4月9日、トランプ大統領は航空、造船など様々な分野におけるイノベーションと生産能力の強化を目指す大統領令を発令した。この一部は防衛(軍需?)調達、改革に焦点を当てている。トランプ政権が産業基盤近代化に力を入れていることから、防衛(軍需?)調達技術の確立によって、民間市場に複数のビジネスチャンスが見込まれている。

弱者に仕えた教皇フランシスコ 思いやりへの力強いシグナル

妻のカリスタと私は「聖週間」に、ワシントンの「無原罪の御宿りの聖母教会」を3回訪れた。米国最大のカトリック教会で、世界でも10本の指に入る。3500人以上を収容でき、イースター(復活祭)の日曜日には立ち席のみだった。

ビットコイン保有量世界3位の北朝鮮 ハッキングで“外貨”獲得

話は少し古くなるが、今年2月21日にドバイに本社を置く世界3位の暗号資産取引所バイビットがサイバー攻撃によるハッキングで約15億㌦(約2250億円)相当の仮想通貨が窃取される事件が発生した。単独の仮想通貨窃盗事件としては史上最大の被害額となったと指摘されるが、この事件には北朝鮮のハッカー集団が深く関与していたのである。

揺らぐ司法の中立性 民主主義を損なう政治化

手元に『あたらしい憲法のはなし』のコピー本がある。太平洋戦争後に中学1年生の教科書として使われ、後に副読本となった文部省作成の学習書だ。戦争放棄と書かれた巨大なるつぼで兵器が溶解されて、さまざまなインフラが飛び出してくる挿絵に見覚えがある方もいるだろう。

霞が関の地盤沈下、永田町と連動 質向上へ政官の交流禁止を

外交官OBの書いた「日本外交の劣化」が版を重ねている。内容は、外交理論の主張ではなく、外交官・外務官僚の事務能力の低下を憂い、実例を憚(はばか)らずに実名を登場させ書き綴(つづ)ったものである。この本を読んで、筆者は1970年代に「大蔵省残酷物語」「厚生省残酷物語」など各省ごとに行政マンの体たらくを書き綴ったシリーズ本を思い出した。

中国、パートナーから戦略的脅威に 「偉大なる復興」目指す習氏

中国との貿易戦争が激化し、紛争に発展する可能性がある。トランプ大統領は約80カ国に対する関税を90日間一時停止したが、中国に対しては145%の関税を維持した。中国の習近平国家主席はこれに対し、すべての米国製品に125%の課税を行った。かつて友好的で協力的であったにもかかわらず、なぜここまで関係が悪化したのだろうか。

トランプ氏とマッキンリーの共通点 高率関税で自国産業保護

米大統領ドナルド・J・トランプの考え方をはじめ、トランプ2期目の政権がやりたいことについて、日本や各国の「エリート」は完全に無知であることに正直、驚いている。外国だけでなく、アメリカのエリートもそうであることにさらに驚いている。

アントネッロ「天正遣欧使節の音楽」 西洋音楽と古謡の奇跡的出会い

1582年、4人の少年使節が日本を旅立った。一行が目指したのはローマ。法王グレゴリウス13世への謁見(えっけん)が目的だった。天正遣欧使節として有名なこの少年団の時代に、日本で、またヨーロッパで演奏されていた音楽を生き生きと蘇(よみがえ)らせた素晴らしいCDがある。アントネッロ演奏「天正遣欧使節の音楽」(発売元:ANTHONELLO MODE、2007年発売)だ。アントネッロは東京都出身の濱田芳通氏を中心とした、中世、ルネッサンス時代の音楽を演奏する楽団である。

対中債務に苦しむパキスタン 中パ経済回廊が大きな負担に

2015年にパキスタンのナワズ・シャリフ政権が「ゲームチェンジャー」と称賛した中国パキスタン経済回廊(CPEC)が、パキスタンにとって大きな負担になっており、これは皮肉なことだ。620億㌦の費用をかけて中国の支援を受け建設されたCPECが通るバロチスタン州には豊富な資源があり、過激派グループなどは中国の搾取に対して猛烈に反発している。

米ミサイル防衛網の構築急げ 進む核拡散、抑止力に懸念

多くの同盟国が、ロシア、中国、北朝鮮、イランの核兵器プログラムに懸念を表明してきた。その多くは、米国の核抑止力拡大へのコミットメントに関するものや、米国の信頼性への懸念という文脈からだった。

中国共産党政治局会議で異変 「習近平排除」始めた可能性

3月31日、中国共産党は毎月恒例の政治局会議を開いた。会議のテーマの一つは、「第4回中央巡視状況の総合報告」の審議である。「中央巡視」とは、党中央から派遣の専任チームが定期的に各地方の党委員会や政府の仕事ぶりを巡視し、それを中央に報告する制度であるが、2022年秋の党大会以来、今回は4回目の派遣であって、前述の政治局会議が巡視チーム提出の報告書を審議したわけである。

コミュニケーションと物と人の関係 万物を通して伝わる思い 着る物・着ける物が人に影響

私たちは日々、さまざまな場面でコミュニケーションを取りながら生きており、その在り方によっては人生が大きく左右されることをよく知っている。コミュニケーションの重要性については、古くから多くの人が語ってきた。例えば、米国のデール・カーネギーは著書『人を動かす』の中で「友を得るには相手の関心を引こうとするよりも、相手に純粋な関心を寄せることだ。ところが世の中には、他人の関心を引くために、見当違いな努力を続け、その誤りに気付かない人がたくさんいる」と言っている。

戦後史の常識のレベルアップを 学校教育の見直しが必須

小学校から大学まで、日本中の学校で2025年の新学期がスタートした。

トランプ米大統領が学ぶべきこと ソ連崩壊へ導いたレーガン氏

クリントン大統領が2000年、ロシアの指導者ウラジーミル・プーチン大統領と最後の会談を行った後、プーチン氏は「非常に頭が良く、思慮深い。彼とは多くの良い仕事ができると思う」と述べた

新しい世界秩序は形成されるのか? 第一主義を唱える米国

1991年のソ連崩壊により東西冷戦が終結した後、20年間でナショナリズムは敗れ、グローバリズムが勝利したと言われてきた。だが、その間に世界の仕組みは複雑化し、人々はインターネット社会の下で膨大な情報を簡単に入手でき、それが真実なのか嘘(うそ)なのかの判別さえ難しいのに、共感や憎悪感も瞬時に広まる社会に生きている

変わりつつある沖縄の平和教育 悲惨さ知るだけでは不十分

時代は僅(わず)かだが良い方向に変化しているのかも、と感じる時がある。その一つが私への中学や高校あるいは公民館からの講演や講座の依頼だ

トランプ外交の問題点 ニクソン政権との類似と相違

トランプ米政権の外交手法が、かつてのニクソン政権のそれをモデルにしているとの指摘がある。トランプ大統領はロシアとの直接協議でウクライナ戦争の早期停戦を実現、ロシアとの関係改善を進め、経済協力や核軍縮交渉の進展をめざす。そして停戦後の状況監視は欧州諸国に委ね、米国は主たる脅威である中国への対処に力を注ぐ考えだ。

変化・成長する時間感覚 パターン身に付け流れ速まる

歳をとると時間の進み方が速くなる。小学生時分は、時間の流れがやたらとゆっくりだった。小学校の6年間を振り返れば、20年ぐらいに感じられる

ヘグセス米国防長官の軍改革 戦士の精神回復を最優先

ドナルド・トランプの2期目の米政権が誕生してから3カ月が経(た)とうとしている。それぞれの国内外政策の改革(筆者は「革命」と呼ぶ)を行っているが、国内政策や対外政策の両方にまたがる国防総省の運営にも注視している

クレムリンに巣食う心情はルサンチマン 覇権に向け同盟概念持たず

トランプ米大統領がウクライナ問題で合意を成立させるための最初の一歩は、モスクワで感情の嵐に見舞われた。ロシアのメディアが西側諸国のメディアをこれほど広範に引用したことはかつてなかっただろう。ウクライナ侵入以降の3年間、ロシア社会は危険で退廃的な西側諸国に背を向け、東側(中国と北朝鮮)に目を向けるよう報道で支配されてきた
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