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冷静に淡々と語る山田さん


“拉致監禁”の連鎖 パート9、10を終えて(中)

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 本連載「“拉致監禁”の連鎖」パートⅩ(今年5月2日~6月5日掲載)では、二度にわたり、思い出すのも嫌な棄教強要を体験した山田舞さん(写真)の証言を取り上げ、強制棄教の内実を明らかにした。

 今回、連載の中心人物として話を聞いたが、肩肘を張ることなく自然体で、率直に語ってくれた。怒る時は怒り、泣く時は泣き、それでいてほぼ冷静に淡々と語ったのは、後藤徹氏の民事訴訟で原告側証人として証言した時(4月8日)も同じだったように思う。この時の、被告側証人の思わせぶりな証言内容や態度とは対照的だった。

 一連の拉致監禁、強制棄教プラン実行の黒幕・宮村峻氏に対する舞さんの分析は鋭い。宮村氏は強制脱会させるに当たってコワモテ一辺倒の人間ではなく、手練手管を弄する懐柔策も心得ている。

 舞さんが、拉致監禁されていた後藤徹氏の部屋に、宮村氏の「脱会説得」の同伴者として出向いた時、宮村氏はとっさに話の調子を変えた。後藤氏に向かって「この子はお前の日大の後輩だ、お前は先輩になるんだ。彼女は6カ月間もしゃべらなかったぞ。だけど、きちんと考えて結果を出して、今こうして普通にいる。お前ももっと考えろ」というようなことを言った。(本連載第234回)

 さんざん抵抗したけれど、今はもうおれたちの側に来ているのだぞ、と言わんばかりに迫った宮村氏。即席の判断でそうしたように思われるが、後藤氏に対し「バカ、あほ」と罵倒していた宮村氏は、今度は一転して情をからませて“落とし”にかかったのだ。

 また、監禁下の舞さんは宮村氏と話すことを拒否し続けていたが、一転して「話すから宮村さんを」と態度を変え家族に伝えた。そこで、監禁された状態で信仰を棄てたとしても、両親に謝意は表したくないとの舞さんのメッセージを受け取った宮村氏は「そんなの当たり前だよ」と、彼女の思いを汲み取るそぶりを見せた(第232回)。脱会間近だと見ると、彼女を慰労する態度に出たのだ。

 その他、舞さんは宮村氏の強制脱会のやり口を、実に冷静に観察し、すくい取っている。家族らが相談に訪れる水茎会での様子、特に、両親らを自らのコントロール下に置くための一里塚として皆の前で告白させる場面など、そのやり口は目に浮かぶようだ。

 一方、1年ほど前のことだが、宮村峻氏は、問いもしないのに、取材班の1人に向かって「後藤のことでは刑事事件にもならなかったし、今度の民事(訴訟)も負けることはない」と言い放ったことがある。だが、その言葉とは裏腹に、裁判の行方を相当気にしているという印象だった。

 最近聞いた話になるが、地方のある牧師が「(強制脱会の説得の)勝負は3カ月。それを10年以上もかけるのはプロでも何でもない」と宮村氏の手法をいぶかっていた。今や、宮村氏は“裸の王様”かもしれない。

 後藤氏による宮村氏らを訴えた民事訴訟は、この6月に宮村氏らの証言が終わり、秋には最終弁論となるから大詰めを迎えた。法廷で宮村氏らは、12年余にわたる後藤氏の拉致監禁の事実を全面否定で押し通したが、その現場にいた舞さんの証言は重い。

(「宗教の自由」取材班)