来週、米朝首脳会談 非核化の具体的措置が焦点


トランプ氏譲歩に懸念も

 27、28両日にベトナム・ハノイで開催される2回目の米朝首脳会談まで1週間を切った。両首脳は、昨年6月のシンガポールでの初会談で「完全な非核化」で合意したものの、その後、非核化に向けた具体的な措置を求める米国に対し、北朝鮮はまず制裁緩和などの「見返り」を要求するなど膠着(こうちゃく)状態が続いた。首脳会談を前に、トランプ米政権が非核化を急がない姿勢も見せる中、北朝鮮の非核化に向け具体的な措置を引き出せるかが焦点となる。

 トランプ米大統領は19日、ホワイトハウスで記者団に「最終的に北朝鮮の非核化を望む」と述べつつ、「(核・ミサイル)実験がない限り、急がない」と述べ、交渉が長期化する可能性を示唆した。

 一方でトランプ氏は「実験すれば、方針を変えるだろう」と牽制(けんせい)。経済制裁も続けているとして、圧力は維持していることを強調した。

 米国はこれまで北朝鮮に保有するすべての核兵器や核施設の申告、非核化に向けた工程表の作成など具体的な措置を求めてきたが、北朝鮮はかたくなに拒んできた。交渉が難航する中、ビーガン北朝鮮担当特別代表は先月末、核兵器や核施設の申告について、「ある時点で実施する」と立場を後退させた。

 ビーガン氏はまた、経済制裁は緩和しないとの姿勢を示しつつ、「両国の信頼関係を築くために、(非核化と)並行して多くの措置について議論する用意がある」と述べ、北朝鮮が米国に求める「相応の措置」についても協議に応じる姿勢を示している。

 一方、首脳会談では、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、寧辺核施設の解体と査察を受け入れる可能性も浮上している。ただ、寧辺の核施設を放棄したとしても、他に高濃縮ウラン製造施設が存在するとみられ、効果は限定的との見方が強い。

 米朝の実務者協議では、こうした措置に対し、北朝鮮への人道支援や、同国の体制保障につながる朝鮮戦争(1950~53年)の終戦宣言、米朝が相互に連絡員を派遣することなどが協議されているとみられる。トランプ氏が成果を急ぎ、北朝鮮のペースに巻き込まれれば、非核化が不十分なまま、安易な譲歩をする可能性もある。

(ワシントン山崎洋介)