米一般教書演説 27、28日に米朝首脳会談


ランプ氏 壁建設へ協力要請

 トランプ米大統領は5日夜、上下両院合同会議で一般教書演説を行った。トランプ氏は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との2回目の米朝首脳会談を27、28の両日、ベトナムで開催すると発表した。また、メキシコ国境に壁を建設する必要性を改めて訴え、実現に向け党派を超えた協力を呼び掛けた。

トランプ米大統領

5日、ワシントンで一般教書演説を行うトランプ米大統領(手前中央)(AFP時事)

 米朝首脳会談は昨年6月にシンガポールで開催されて以来となる。トランプ氏は、「朝鮮半島の平和に向けた歴史的な取り組みを続けている」とその意義を強調。米朝関係については「まだなすべきことは残っているが、金委員長との関係は良好だ」との認識を示した。

 また、北朝鮮が核実験やミサイル発射を中止していることなどを成果として強調。「私が大統領に就任していなければ、北朝鮮との大規模な戦争で何百万人も死亡した可能性がある」と主張した。

 不法移民問題について、トランプ氏は「不法移民への寛容は、情け深さではなく、無慈悲なことだ」と指摘。野党・民主党が強硬に反対するメキシコ国境の壁について「必ず完成させる」と述べ、実現に向け改めて強い意志を示した。

 壁を国境警備隊が最も必要と感じる場所に配置することで不法入国が大幅に減少すると主張。昨年11月の中間選挙で民主党が下院の多数派を占める「ねじれ議会」となったことを踏まえ、壁建設費用を含む予算案を可決させるため与野党が「協力し、妥協し、合意すべきだ」と呼び掛けた。

 通商政策では、中国による知的財産権侵害について批判。「不公平な貿易慣習を是正し、貿易赤字を減らす構造的改革が必要だ」と述べ、中国に是正に向けた対応を要求した。

 外交・安全保障政策では、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討戦の成果を強調した上で、「偉大な国家は終わりのない戦争を続けることはない」と指摘。シリアの米兵撤退を決めたことをめぐっては、ロシアの勢力拡大を許す恐れがあることなどから与党・共和党議員からも懸念の声が上がっているが、「シリアで戦っている勇敢な兵士たちを帰還させるときだ」と改めて表明し、アフガニスタンからの米軍についても和平交渉が進展すれば、縮小できるとの考えを示した。

 政情不安が続く南米ベネズエラで、グアイド国会議長を暫定大統領として承認したことについては、「われわれは自由を求めるベネズエラの人たちを支持し、残虐なマドゥロ政権を非難する」とし、退陣に向け改めて圧力をかけた。

(ワシントン山崎洋介)