アマゾン熱帯雨林消失が拡大 、過去10年で最悪に


 ブラジル環境省は24日、アマゾン熱帯雨林の消失量が過去10年で最大となったと発表した。2017年8月から18年7月に消失した熱帯雨林の面積は約7900平方キロ、東京都の面積(2191平方キロ)の3倍以上もの熱帯雨林が消失した。

 同省関係者によると、主要な原因は「違法伐採」にあり、特に北西部のパラー州と中西部のマットグロッソ州で前年比約14%増と最大だった。マットグロッソ州は大豆やとうもろこしの生産地として近年注目されており、中国をはじめとする海外資本の進出が目立っている。

 また、近年は農耕地や放牧地を拡大するために、組織的に違法伐採が行われるケースも増えており、熱帯雨林内の保護地区に住む先住民らが伐採業者に襲われるケースも出ている。

 10月のブラジル大統領選挙で当選したボルソナロ次期大統領は、財政改善の一環として省庁削減を打ち出しており、農務省と環境省を合併することを提案している。環境保護団体の関係者や専門家からは、「アグリビジネス」推進派のボルソナロ氏の就任、さらには方向性の違う両省の合併により、ブラジル国内の環境保護活動が後退するとの懸念が出ている。

 「地球の肺」として知られるアマゾン熱帯雨林は、その多くがブラジル国内にあり、世界で発生している二酸化炭素の実に25%を吸収しているとの研究報告もある。

(サンパウロ綾村悟)