米中間選挙、限定的だった民主の勢い


 トランプ米大統領の残り2年間の任期を左右する中間選挙の投開票が行われた。

 連邦議会では今回、上院(定数100)の35議席と下院(同435)の全議席が改選され、全米50州のうち36州の知事選も行われた。

 共和党が下院で敗北

 中間選挙では政権運営について批判を受ける与党が議席を減らすことが多い。今回は、上院では与党共和党が過半数を維持し、下院では野党民主党が8年ぶりに過半数を奪還。上下両院で「ねじれ」が生じた。下院は議長から各委員長まで全てのポストが民主党に移る。民主党はロシアによる米大統領選介入疑惑の追及を強めよう。

 ねじれ議会は財政運営の見通しを不透明にする。いずれ債務上限を引き上げなくてはならない時期が来る。共和党は立法時に民主党と取引をしなければならないが、民主党がトランプ政権にブレーキをかけることは目に見えている。上院で過半数を確保したといっても、トランプ氏は厳しい政権運営を迫られるだろう。

 投開票日が近づく中、トランプ氏は精力的に激戦区を遊説した。過密スケジュールで各地を回り、雇用者数の増加など経済の好調さや不法移民対策で実績を挙げたことをアピールし、自らの政策を訴えた。

 多忙な大統領が議会選のためにこれほど集中的な応援を行うのは異例だ。下院で敗北したとはいえ、優勢だった民主との差を縮める上で大きな効果があったと言えよう。

 一方、民主党はオバマ前大統領を前面に出しトランプ政権批判を展開した。オバマ氏としても、自ら実現を図ってきた環境保護、医療保険改革、移民などの政策をことごとく反故(ほご)にするトランプ氏の態度に我慢ならなかったのだろう。

 しかし、民主党の勢いは当初予想されたほど増すことはなかった。民主党は全国的に左旋回し、オバマ氏に代表されるリベラル路線から有権者が離れる傾向にあることが影響したとみられる。トランプ氏が連邦最高裁判事に指名した保守派のブレット・カバノー氏の承認に民主党が抵抗し、共和党を支持する保守派の反発を招いたことも背景にある。

 中間選挙後も、トランプ氏の「米国第一」は変わらないだろう。トランプ氏は9月の国連総会演説で「米国のことは米国人が決める」と強調した。トランプ氏にとって中間選挙は次の大統領選へのプロセスである。

 大統領選で公約した政策の6割が実行されているという評価もある。大統領の任期後半の2年間、トランプ氏は米国第一を改めて強く押し出していくことになろう。

 同盟の抑止力向上を

 中間選挙をめぐって、菅義偉官房長官は「日米同盟は揺るぎない。その重要性については共和党、民主党問わず共通認識が存在している」と強調した。

 ただ、上下両院のねじれでトランプ氏が内向き姿勢を強めることも考えられる。わが国を取り巻く安全保障環境が悪化する中、日本は米国との関係を一層強化し、同盟の抑止力向上を図るべきだ。