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電子戦能力の向上が急務 米陸軍長官


ロシア軍、シリアで次世代兵器を実験

 米陸軍は、ウクライナ東部で使用されているロシア製兵器をめぐって、電子戦と無人機への対応で困難な課題に直面している。マーク・エスパー米陸軍長官がワシントン・タイムズの記者らとの会合で明らかにした。

 ウクライナ東部の前線近くには米軍の監視要員が配置され、親ロシア派勢力とロシアの軍事顧問らによるウクライナ軍に対する戦術への監視を続けている。

 エスパー氏は「ここで学んだ特筆すべき教訓として、ロシア軍の無人機の使用が挙げられる。無人機を活用して、敵部隊を発見し、直接、間接の攻撃を行っている」と指摘。「電子戦についても発見があった」とした上で、陸軍で対応を検討していることを明らかにした。

 ロシア軍は、ウクライナ、シリアなどでの戦闘を、次世代兵器、とりわけ電子戦の実戦での実験場にしている。

 シリアでロシア軍は、米軍の通信、航行システム、「ブルーフォース」トラッカーを遮断することに成功した。「ブルーフォース」トラッカーとは、米軍が、敵味方入り乱れた戦場で、味方兵と敵兵を区別するために使用するシステムだ。

 電子戦の専門家ローリー・モー・バックホート退役陸軍大佐は7月、米誌「フォーリン・ポリシー」で電子戦の脅威について「突然、通信できなくなり、発砲を要請したり、敵の接近を警告したりすることもできなくなる可能性がある」と警告している。

 エスパー氏は「(電子戦は)米軍にとって必要な能力だと考えている。ウクライナなど世界中の紛争でそれを学んだ。…立て直す必要がある」と、ロシアの電子戦能力に備えておく必要性を訴えた。

 同氏は、陸軍の近代化のために新設した「未来軍」がこれらの技術の開発を主導すると指摘、電子戦など近代的な能力の開発が、2001年の同時多発テロ後、テロとの戦いが最優先される中で、大幅に縮小されてきたことを明らかにした。

 また、「大国間の競争の時代が復活」したとして、「電子戦の構築、または再構築」が必要だと強調した。

 国防総省は、ウクライナ東部の親ロシア派勢力と戦うウクライナ軍を支援するための兵器と装備に10億㌦を充てることを承認した。同省の声明によると、7月には、新たな「ウクライナの指揮・管制、状況認識システム、通信の安全性、機動力、暗視、救護の能力強化」などへの軍事援助2億㌦を承認した。

 米政府は5月、新型の対戦車ミサイルのウクライナへの引き渡しを完了した。ロシアはこれに反発しており、ウクライナでの戦闘の激化の可能性がある。

(ワシントン・タイムズ特約)