「非核化」認識に違い、トランプ氏北に譲歩せず


 トランプ米大統領が米朝首脳会談の中止を公表したことで、朝鮮半島の非核化をめぐって米朝両国の認識の違いが改めて浮き彫りになった。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)やペンス副大統領は、北朝鮮の非核化プロセスについて「リビア方式」に言及。これは、北朝鮮に対して2003年のリビアと同様に短期間で「完全かつ検証可能で不可逆的」な非核化を実現させ、それを受け経済制裁の緩和などを実施するものだ。

 これに対して北朝鮮は、ボルトン氏やペンス氏を名指しで非難するなど強く反発。核・ミサイルを段階的に放棄しつつ、経済支援や体制保障などの見返りを得ようとする立場を崩さなかった。

 一方、トランプ氏は、北朝鮮との合意は「リビア方式とは全く違う」としつつも、今回、米朝会談の中止を決断することで安易に譲歩しない姿勢を示した。

 会談中止の通告を受け、北朝鮮は25日の談話で、「関係改善のための首脳会談がどれだけ切実に必要か」などとして対話の必要性を訴えた。ボールは北朝鮮の側に投げ込まれていると言え、今後、北朝鮮が譲歩する姿勢を見せるのかが焦点となる。

 米メディアによると、トランプ氏が会談中止を決めた背景には、ボルトン氏からの働き掛けが大きかったという。政権入りする前、北朝鮮への先制攻撃を主張するなど、強硬な姿勢を示してきたボルトン氏がトランプ氏の意思決定にどの程度、影響力を持つのか、今後も注目されるところだ。

(ワシントン山崎洋介)