米国防総省、トランスジェンダー入隊容認へ


司法判断を受け来年1月から

 米国防総省は11日、心と体の性別が異なるトランスジェンダーについて、来年1月1日から米軍入隊を認める方針を明らかにした。トランプ大統領が8月に入隊禁止を指示していたが、入隊手続きの開始を命じる司法判断が示されたとして受け入れを決定した。

 トランスジェンダーの入隊をめぐっては、オバマ前政権が昨年、受け入れを決定。今年7月からの新規入隊が認められていたが、トランスジェンダーの入隊による影響を再調査するため国防総省が受け入れを延期し、トランプ氏が8月に入隊を禁止する文書に署名した。

 これに対して、トランスジェンダーを支援する団体などが入隊を認めるよう提訴。首都ワシントンの連邦地裁は10月に大統領の入隊禁止指示を差し止める仮処分命令を出した。同地裁は米政府による不服申し立ても今月11日に退け、国防総省が司法判断に従うとして受け入れを認めた。

 ただ、司法省は裁判で争う意向を示しており、判決によっては再び入隊が禁止される可能性もある。

 米メディアによると、入隊できるトランスジェンダーは自認する性別について18カ月間、安定して適応し、業務上支障がないなどの条件をクリアした人のみとなる。

 世論調査会社「ラスムセン」の調査によると、トランスジェンダーが軍務に就くことが「米軍にとって良い」と考える有権者は23%しかおらず、入隊受け入れに否定的な意見も多くある。

(ワシントン岩城喜之)