「同性婚ケーキ作り強要は憲法違反」米司法省が意見書


表現の自由侵害と指摘

 キリスト教徒のケーキ職人ジャック・フィリップスさんが同性婚のウエディングケーキ作りを断ったことが米連邦最高裁で審理されている問題で、米司法省は7日、宗教的信念に反してケーキ作りを強要するのは憲法で保障された表現の自由を侵害する行為だとする意見書を最高裁に提出した。

ジャック・フィリップスさん

7日、米連邦議事堂前で会見するジャック・フィリップスさん(岩城喜之撮影)

 司法省は意見書で「特注のウエディングケーキは彫刻と同じように十分、芸術的である」とし、ケーキ作りは表現の一種であると指摘。その上で「宗教的信念に反して表現を強要し、(同性婚の)式に参加させようとする行為は、(信教・表現の自由などを定めた)憲法修正第1条の権利を侵害している」と論じた。

 また司法省は、ケーキ作りを拒否したのが2012年7月だったとし、その時点でフィリップスさんの住むコロラド州は同性婚を認めていなかったと強調した。

 コロラド州人権委員会はフィリップスさんが性的志向に基づく差別を禁じた州法に違反したと断定し、今後は同性婚のケーキ作りを引き受けることなどを命じていた。

 一方、共和党議員86人も7日、同性婚のケーキ作りを強要する行為は信教・表現の自由を侵害するなどとした意見書を最高裁に出す計画を発表した。

 フィリップスさんは同日、首都ワシントンの連邦議事堂前で会見し、「政府が私の自由を奪い、良心に反するものを作らせようとするとは考えもしなかったが、コロラド州はそうしたことを強要した」と指摘。さらに「全ての米国人は何を作るか、あるいは何を作らないかを自由に選べなければならない」と訴えた。

(ワシントン岩城喜之)