トランプ政権100日 外交政策で方針転換


議会対策に課題も

 トランプ米大統領が1月20日に就任してから29日で100日を迎えた。これまでに約30の大統領令に署名するなど実行力を示したほか、不確実性の高かった外交政策では共和党の伝統路線に回帰しつつあり、評価する声も上がっている。
(ワシントン・岩城喜之)

トランプ氏

トランプ大統領=25日、ワシントン(AFP=時事)

 政権発足から100日間はメディアとの良好な関係が続く「ハネムーン期間」とされるが、トランプ政権への批判的な報道は毎日のように続いた。ただ、経済政策などに対する支持者の期待は高く、ワシントン・ポスト紙とABCテレビが23日に発表した調査では、昨年11月の大統領選でトランプ氏に投票したことを「後悔している」と答えた人はわずか2%だった。

 一方、外交政策は就任前から大きく転換した。トランプ氏は昨年の大統領選中に「(米国は)世界の警察官になることはできない」と述べたほか、同盟関係を軽視するような発言を繰り返していた。このため孤立主義的な外交政策に突き進む可能性があると懸念されていたが、シリアのアサド政権に対する軍事攻撃や北朝鮮への圧力強化など、国際社会における役割を積極的に担う政策に転じつつある。

 こうした背景には、フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)が更迭されたことに加え、シリアへの軍事介入に反対したとされるバノン首席戦略官・上級顧問の発言力が弱まり、マクマスター大統領補佐官(同)やマティス国防長官が外交・安全保障政策を取り仕切るようになったことが影響したとみられている。また社会問題では、ニール・ゴーサッチ氏を連邦最高裁判事に起用するなど保守路線を明確にしている。ラジオ番組の司会者ヒュー・ヒューイット氏はワシントン・ポスト紙への寄稿で「トランプ政権の最初の50日は浮き沈みが激しかった」としながらも、「100日間では保守派に多くの喜びをもたらした」と評価した。

 ただ、共和党が上下両院で過半数を握っているにもかかわらず、議会対策が思うように進まない課題も浮き彫りになった。医療保険制度改革(オバマケア)見直しでつまずき、税制改革でも輸入への課税を強化する「法人税の国境調整」で党内の意見対立が目立った。

 また一部のイスラム圏からの一時入国禁止を柱とする大統領令をめぐって、裁判所から2回も一時差し止め命令を受けるなど司法の壁にも直面している。

 トランプ氏は就任から100日で判断するのは「ばかげた基準」だとツイッターに書き込みメディアを批判したが、今後どこまで公約を実現できるか、政治手腕が問われることになる。