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露、ハイブリッド戦で米欧分断


ウクライナ大統領選に介入も

 ロシアは、シリアや2016年米大統領選への介入で自信を付け、今後は、西側を分断し、大国としての地位を取り戻すための戦略の一環として、ネット上での情報操作、「限定的」な軍事行動を推進していくと米国のロシア専門家らは見ている。

プーチン大統領

ロシアのプーチン大統領=7日、モスクワ(AFP時事)

 ロシアは「ハイブリッド戦争」という手法で、政治的目的を達成するために偽ニュース、サイバー攻撃を駆使してきた。現在は、限定的な軍の派兵を通じて今月末のウクライナ大統領選に影響を及ぼそうとしていると専門家らはみている。

 民主主義防衛財団の軍事・政治力センターのブラッド・ボーマン所長は、米国と同盟国の対応は「不十分で、連携も取れていない」と指摘、「同盟国と協力し、ロシアの攻撃的な偽情報作戦に効果的に対抗すべきだ」と欧米の連携の重要性を訴えている。

 ウクライナ当局者らによると、ロシアは、ソーシャルメディア、偽ニュースだけでなく、ウクライナ内の新露派と協力して、賄賂を使って選挙戦を有利に進めるための複雑なシステムを構築しているという。

 ロシアの戦略の核心は、米国と北大西洋条約機構(NATO)同盟国を分断することにあると専門家らはみている。

 ヘリテージ財団の国家安全保障専門家カラファノ氏は「誰もがウクライナの心配をしているが、真の脅威はここではなく、パリ、ベルリン、イスタンブールにある」とロシアが、欧州、中東で欧米に対抗する戦略を推進していると指摘した。

 ドイツでは、ロシアの天然ガスを欧州に運ぶパイプライン「ノードストリーム2」が建設され、米国はこれに強く反発、米独関係悪化の一因となっている。

 イタリアのコンテ首相は昨年秋にロシアを訪問し、欧州連合(EU)の対露制裁の解除を訴えたが、米国は制裁の継続を主張した。

 また、ロシアは、NATO加盟国トルコに最新迎撃ミサイルシステムS400の売却を進めており、これに反対する米国とトルコとの関係は悪化している。

 大西洋評議会の上級研究員コーエン氏は「ロシアの戦略は奏功していると思う」と分断工作が成功を収めているとの見方を示した。

 専門家らによると、ロシアは、トランプ米大統領による政策が欧州を米国から遠ざけている現状を注視している。NATO加盟国への防衛費増額要求、「パリ協定」、イラン核合意からの離脱などトランプ政権の決定に欧州各国が反発しているからだ。

 「このカードは効果的だ。欧州は既にトランプ氏を嫌っている」と、保守系シンクタンク、カラファノ氏は指摘した。

(ワシントン・タイムズ特約)