UAE、サイバー空間で過激派組織監視


非公開のテロ対策センター

 中東のアラブ首長国連邦(UAE)に設置されているテロ対策組織「サワブセンター」ではこの2年間、穏健派イスラム教徒らが過激派組織「イスラム国」(IS)との容赦のないサイバー情報戦を繰り広げている。フェイスブック、ツイッターなどソーシャルメディア企業と密に連絡を取りながら、ネット上から聖戦主義者らのプロパガンダを排除するためだ。

 センターのソーシャルメディアのページは、中東全域で200万人以上のフォロワーを持つ。幹部らは、急進派のプロパガンダをサイバー空間で発見し、削除する作業を進めており、今後、さらに大きな影響が出てくるはずだと自信を示した。

 UAEのセンターの所長は匿名を条件にワシントン・タイムズに対し「センターの活動について公の場で話すことはない。しかし、ツイッターやフェイスブックとは直接のバックチャンネルでつながっている。急進的コンテンツを拡散しているアカウントを見つけたと通報すれば、遮断される」と語った。

 別の幹部は「複数のソーシャルメディアで約50万のアカウントを閉鎖させた。その中でもツイッターが最も効果が出ている。通報すれば、直ちに閉鎖される。強い信頼関係を築いている」と実績を強調する。

 センターはもともとは米政府が組織したものだが、2015年以降はUAE政府が運営している。イスラム教徒が、急進的なコンテンツにアクセスを阻止するため、扇情的で、時に暴力的な動画を配信することもあるという。センターの場所は活動への影響への配慮から公開されていない。

 UAEも米政府もこれまで、米国のソーシャルメディア大手と協力して、イスラム急進派の投稿をチェックしてきたことを公式には認めていない。

 オバマ前大統領は、15年7月に、ネット上での「直接関与」を通じて、ISの戦闘員募集プロパガンダに対抗するために、UAEと共同でテロ対策センターを創設したことを発表していた。

 米当局者らは、センターの活動に触れることには非常に慎重で、創設の発表後、国務省もセンターについてはほとんど言及していない。

(ワシントン・タイムズ特約)