米大学「韓米研究所」閉鎖の衝撃


韓国紙セゲイルボ

韓国政府に対する怒りの声も

 小説家パール・バック。幼い頃中国に行き18歳まで暮らした。小説『大地』『西太后』『東の風・西の風』は中国を背景にしている。歴史学者ジョン・K・フェアバンク。西欧の東洋史学者第1世代で、1930年代、北京の精華大学で講義した。ハーバード大初の中国史教授である彼の『東洋文化史』は古典である。『中国の赤い星』を書いたエドガー・スノー。22歳で中国に行き12年間記者生活をした。毛沢東に直接会った。

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北朝鮮・核ミサイル施設の衛星写真はジョンズ・ホプキンス大の韓米研究所が世界に公表してきた貴重な情報だ。写真は昨年1月16日撮影された寧辺核施設(エアバスDS/韓米研究所提供=時事)

 彼らの代表作は1000万部以上売れたベストセラーだ。ハーバード大に「燕京研究所」がつくられた1928年はその頃だ。彼らの作品は東方に対する関心を呼び起こしたマルコ・ポーロの『東方見聞録』の脈を引き継ぐ。

 「日が昇る東方」。韓国はこれに含まれないようだ。少なくとも学問領域では。アーノルド・トインビーの『歴史の研究』を見れば実状が判る。人類歴史に現れた21文明。東アジアには三つあるといった。中国の秦・漢時代の文明、モンゴル・満州の文明、残り一つは東アジア文明の日本だ。韓国はない。『歴史の研究』のどこをめくってみても韓国に関する話は出てこない。植民地朝鮮半島、独立後には貧困にやつれた国とでも見たのだろうか。

 今は大いに変わった。ハーバード大に韓国学研究所がつくられた。今年で31年目だ。「韓国研究」に火が付いたのだろうか。韓国の歴史を知る外国人はどれくらいになるか。韓国学研究所はまだ燕京研究所の片隅を占めるだけだ。

 習近平中国国家主席はドナルド・トランプ米大統領に会って、歴史を語った。「朝鮮半島は本来中国の歴史」だと。それに頷いた“無知な”米国大統領を恨まなければならないのか。

 ジョンズ・ホプキンス大が来月、韓米研究所(USKI)を閉めることにした。海外の韓国研究者らは大きな衝撃を受けたもようだ。「韓国が研究所門を強制的に閉じさせた」、「文在寅大統領のグローバル惨事だ」と。閉鎖は同大の決定だが、ツイッターには“自由な研究”に鎖をはめようとする韓国政府に対する怒りがにじみ出る。

 わずかな支援金20億ウォンを切ることで韓国学は“地に落ちた桜花”に変わった。心配である。

(姜浩遠論説委員、4月13日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。