国益極大化に乗り出す中国


韓国紙セゲイルボ

混沌の韓国に光照らすデモを

 大統領権限代行体制で運営される韓国の外交は一歩も前進できない現実に直面している。米国の政権交代期に北朝鮮の追加挑発の可能性が大きくなっているが、韓国は核心当事者にもかかわらず、主導的に対応するのが難しい。

文在寅

討論会に出席した韓国最大野党「共に民主党」の元代表、文在寅氏=12日、ソウル(時事)

 日中韓首脳会議の年内開催も見送られた。地域の安保懸案などについて、誰と接触すべきか分からない韓国の現実のせいだ。トランプ氏も韓国の次期大統領が誰かも分からない状況では、韓米関係を議論したくてもできないだろう。

 韓国が混沌(こんとん)の中でもがいている間に中国はこの状況を十分活用し、国益極大化に乗り出している。中国外交部報道官は9日、朴槿恵(パククネ)大統領弾劾訴追案可決に関して、「中国政府の一貫した原則は内政不干渉だ」と明らかにした。しかし、この公式発言を額面のまま受け取る者はいない。中国は韓米のサード(THAAD・高高度防衛ミサイル)配置への報復として、韓国を全方向から固く締めつけている。韓国芸能人の中国公演や韓国ドラマ・放送・映画の中国内放映が制限され始めた。事実上の「禁韓令」だ。最近ではサード敷地を提供したロッテの中国法人が税務調査などの対象になった。ロッテは自発的に敷地を差し出したわけでもないのに、むちで打たれているのだ。

 中国は政治的利害関係で自国の観光客の海外旅行まで調節できる国である。台湾独立路線を追求する蔡英文台湾総統に対する報復として、中国が意図的に台湾旅行を減らした結果、台湾旅行業界は直撃弾を受けている。

 もはや中国の対外圧迫は内政干渉のレベルだ。中国は韓国の議員外交でも、サードに反対する野党国会議員だけを選んで会っている。

 習近平国家主席は中華民族復興のため“中国の夢”実現のために邁進(まいしん)している。その一方、韓国は前倒しになった大統領選挙で候補者らによる百家争鳴時代が開幕するだろう。米国大統領選で“米国優先主義”を叫んだトランプ氏が当選し、イタリアではマッテオ・レンツィ首相が推進した憲法改正案が国粋主義指向の野党の反対で否決され、結局レンツィ首相の辞任につながった。自国の利益を前面に出す国粋主義の風が全世界を吹き巻くっている。

 指令塔が崩れた韓国は絶体絶命だ。今からは弾劾のろうそくデモでなく、混沌の中の韓国を明るく照らすろうそくデモを行う時だ。

(シン・ドンジュ北京特派員、12月12日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。