中国の歴史歪曲ドラマ『三八線』、北朝鮮の開戦責任ごまかす


韓国紙セゲイルボ

 中国では、韓国動乱は「忘れられた戦争」になっている。韓中関係が改善され、「過去よりは現在と未来が重要だ」という考えに陥っているからだ。最近そのような記者を覚醒させる契機があった。中国ドラマ『三八線』だ。北京市党宣伝部主導で製作されたもので、北朝鮮の開戦責任をごまかしている。「1950年6月25日、分裂していた韓半島で内戦が勃発した」というナレーションで始まる。

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1950年6月北朝鮮軍が韓国に侵攻、膨大な避難民がひたすら南を目指した(米国防総省提供)

 開戦責任の所在によって戦争の性格は変わる。38度線周辺で南北の小競り合いや衝突が頻繁になり、突然、韓国動乱が炸裂(さくれつ)したというのが中国の公式見解だ。高校教科書には、「朝鮮人民軍が速かに漢城(ソウル)を占領し南側に向かって進撃した」と記述する。だがこの一節が北朝鮮軍の南侵を明示したものではない。

 懇意にしている中国学者たちも史料を通して、ソ連の支持と中国の黙認下で北朝鮮が韓国動乱を起こした事実を知っていながらも、中国政府の公式見解から抜け出せない。

 ドラマ『三八線』は鴨緑江周辺に住んでいた漁民李(イジャンスン)長順が米軍機の爆撃で父と兄弟を失った後、復讐の一念で中国人民志願軍に入隊して、韓国軍、国連軍と戦うというものだ。

 中国は韓国動乱を「抗米援朝」(米国に抗し北朝鮮を援ける)戦争だと呼ぶ。習近平中国国家主席も2010年、「偉大な抗米援朝戦争は平和を守って侵略に対抗した正しい戦争だった」と演説した。

 李長春は入隊する前日、父の墓前で復讐を誓い韓半島へ向かって行く。長春のように参戦した志願兵が25万人に達する。韓国語ができる長春とその部隊員が鴨緑江を渡った後、初めて殲滅(せんめつ)させた敵軍が他でもない韓国軍部隊だった。韓国軍は奇襲攻撃にあって長春部隊の銃剣に鮮血を吐きながら倒れて行く。

 人民志願軍指導員は韓国軍捕虜に向かって、「われわれは米軍の侵略に対抗するものであって、韓国軍と戦うのではない」として一握りの食糧まで握らせ、釈放する場面も出てくる。これは「戦略的協力パートナー」に格上げされた昨今の韓中関係を意識した構成であろう。

 北朝鮮の開戦責任には“知らんぷり”で通し、侵略者米国を強調し、韓国を抱き込もうとする意図が感じられるドラマ『三八線』は中国人に誤った歴史認識を植え付けている。

 中国が韓国動乱の真実を歪曲(わいきゃく)している現実は韓中関係の未来が決して楽観的でないとの事実を新たに悟らせるものだ。

(シン・ドンジュ北京特派員、6月20日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。