外国人観光客誘致に必要なもの


韓国紙セゲイルボ

心をつかむ人との交流育め

 「駅やバスターミナル近くにある飲食店はサービスも良くなくて味もまずい」とは10~20年前によく聞いた話だ。行きずりの客からは金だけ儲(もう)ければいいと考えていたのだ。

 最近は観光に対する認識が変わり、こうした姿は減りつつある。インターネットの普及で店情報が広がって、サービスの良さが再訪者を増やすからだ。しかし、韓国の観光はまだ20年前に留まっているのが現状である。

 「2014観光不便申告総合分析」によれば、同年外国人観光客の不便申告は1154件で、この中でショッピング不満申告が320件で最も多い。ショッピングの中でも67・8%が「不親切」と「常識外れの不当な料金」に対するものだった。

 外国人観光客が韓国を訪れる最大の理由がショッピングなのに、慢性的な“ぼったくり”料金と不親切などに対する不満が積もれば、そっぽを向かれることになる。

 結局、サービスの品質向上、地方の特色あるコンテンツ開発など、人の心を捉えるように観光の質を高めなければ、外国人が韓国を2度3度と訪ねることにはならない。

 だが、政府が出す対策は観光の質を高めるよりは、単純に外国人が韓国に来て、金を多く使うという近視眼的な対策に留まっている。代表的な例が「コリア・グランドセール」だ。春節(旧正月)など外国の連休期間にセールを行い、外国人の消費を増やすのだ。短期的に売り上げを増やす効果はあるだろうが、これでは外国人旅行者を単純に「金だけ使って行く人」とだけ見る政策という認識は消せない。

 政府の政策がこれだから、旅行中、免税店、デパートなどを回って、ショッピングだけをさせる低価格旅行パッケージが消えないのは当然のことだ。これはまた外国人の不満を増やす悪循環につながる。

 政府は問題が大きくなると、あたふたと低価格旅行パッケージに規制をかけようとするが、こうした商品を量産させる政策を繰り広げた張本人の政府が根本的な対策をたてずに責任を企業に転嫁していては解決はない。

 最近会ったあるホテル職員は、「以前ホテルで受けたマネジャーのサービスが記憶に残って、そのマネジャーが移ったホテルを訪ねて行って宿泊をする外国人を見た」として、「旅行で長く記憶に残るのは結局会った人々」だといった。

 外国人の金だけをあてにした政策ではなく、心をつかもうとする長期的な観光政策に対して政府が本気で取り組まなければならない時だ。

(李貴全(イクィジョン)文化部次長、3月8日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。