他人事でない米国の人種差別


韓国紙セゲイルボ

同化でなく文化間疎通教育を

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4月25日、韓国ソウルの青瓦台(大統領府)で、共同記者会見する朴槿恵大統領(右)とオバマ米大統領(AFP=時事)

 米ネットメディアのハフィントンポストに関心を引く記事が載った。メキシコ出身の米国人ホセ・サモラ氏(32)の求職の話だ。彼は毎日50~100通の履歴書メールを送ったが、返信は1カ所もなかった。

 本能的に彼は履歴書を送り続けたが、今度は1週間後にメールボックスがぎっしり埋まった。どうして、この奇跡が起きたのか。履歴書内容は一つも変えていない。ただし自分の名前の「Jose Zamora」から「s」1文字を抜いただけだ。南米系の名前の「ホセ」(Jose)を白人にありがちな名前「ジョー」(Joe)に変えたのだ。米国社会の人種的偏見を見せる事例だ。

 米国黒人と南米系求職者の間に「white washing」「whitening the resume」という言葉が広く知られている。黒人であることを連想させる名前を白人ぽく変えたり、黒人系列大学記録を隠して、ユダヤ系大学記録は残すという方式だ。

 1964年7月2日、民権法制定で米国では人種差別が公式に禁止された。米国人は幼いころから家庭で、学校で宗教と性、人種、障害などに伴う差別をしてはならないという教育を徹底して受ける。それでも米国社会では人種差別的な事件が頻繁に起きる。

 それを遠い米国だけの問題と感じてはならない。

 大韓民国は居住外国人が160万人に肉薄するほど急速に多文化社会に変わった。だが、人種差別的発言や行為は少なくない。時代の変化に市民意識が追い付けずにいる。皮膚の色が違うという理由で除(の)け者にされる生徒が少なくない。人種差別という認識さえないということに問題の深刻性がある。

 事実、韓国社会で「多文化」は「韓国化」を意味するという指摘が多い。「多文化」という言葉が広く使われるようになったのは、フィリピンなど東南アジアの女性が韓国男性と結婚する事例が急増してからだ。

 彼女らの韓国社会定着を助けるために、多様な多文化家庭支援事業が用意された。これは結婚移住女性を社会の一員として受け入れるより、同化させようとしたところに焦点が合わされていた。

 米国の大学には「文化間疎通」を専門に研究する学問がある。多文化社会で葛藤を最小化しながら共に生きる案を研究して教える学問だ。韓国には文化間疎通に対する教育がほぼなく、教育をする専門家もほとんどいない。

 今後、韓国の多文化家庭の子供が成長していくにつれ、社会的イシューになることは明らかだ。青少年期、軍入隊、就職、結婚時期を経ながら、予想できない葛藤がもたらされるだろう。今から疎通を準備しなければ差別と葛藤の道を避けられない。

(朴ヒジュン・ワシントン特派員、9月28日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。