「安全な大韓民国」になろう


韓国紙セゲイルボ

忘却の悪循環を断ち切れ

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9日、ソウル市内の大統領府近くに座り込んで抗議する韓国客船「セウォル号」犠牲者の家族ら(AFP=時事)

 米国では先月、強力なトルネードが中南部を強打した。フィリピンを訪問中だったオバマ大統領は報告を受けた直後、連邦緊急事態管理庁(FEMA)長官を被害地のアーカンソー州へ急派した。現場状況を直接把握しろとの指示だ。州知事にも電話をかけて、連邦政府の支援が必要かを尋ねた。

 オバマ大統領は帰国するとすぐ、被害地域を緊急災害地域に指定し、現場ではFEMA指揮で連邦政府と州政府が有機的に救護活動を展開した。災害管理システムが直ちに稼働し始めたのだ。米国民が政府を信頼する理由だ。

 日本では約6400人が亡くなった1995年の阪神淡路大震災当時、地震発生3日後になって自衛隊が救援物資を輸送するほど、危機管理能力が思わしくなかった。

 日本政府は失敗を繰り返さないために危機管理システムを充実させた。2007年3月、阪神規模の地震が能登半島を強打したが、死亡者はたった1人だった。日本政府の徹底した災害対応が威力を発揮した結果であった。

 韓国はどうなのか。大型惨事が起こっても、その時だけだ。国民は責任を転嫁して騒ぎ、大統領は国民に頭を下げる。政府が災害対策を立てるというが、即座に忘れてしまう。こうしたことを繰り返して、一つも変わるところがない。

 セウォル号沈没事故の渦中に、首都の真ん中で約200人が負傷する地下鉄追突事故が起きるのが大韓民国だ。南海と東海(日本海)では、乗客数百人を乗せた旅客船がエンジン故障を起こし、大邱のケーブルカーは急発進事故が繰り返されているにもかかわらず、運行を継続した。こういう国を正常ということはできない。

 先進国の災害管理システムも完全ではないし、自然災害と人災・官災であるセウォル号惨事を単純比較することも難しいが、彼らはつらい過去の過ちを教訓とし、一つずつ持続的に直していく。FEMAは毎年白書を出し、日本政府は災害関連研究を怠らない。韓国と違う点だ。

 政府が国家安全処を作るという。それで韓国が安全になると思う国民がどれくらいいるか。組織がないから大型災害対応が不十分なのではない。正しく作動しないからなのだ。事故原因の徹底究明もせず、まず機構を作るという発想も過去と同じだ。多くの高校生たちの犠牲でも、教訓を得ることができない現実が悲しい。

 もう忘却の悪循環の輪を断ち切る時だ。安全な大韓民国を作らなければならない。政府にだけ任せておけばいいことではない。安全に対する国民的認識転換と実践なしには不可能だ。交通規則を守るといった小さいことから始めなければならない。これが醜い大人たちのせいで水中で亡くなっていった子供たちに対する贖罪(しょくざい)だ。

(元載淵〈ウォンジェヨン〉論説委員、5月8日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。