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マクロン氏勝利、EU安定化へ問われる手腕


 フランス大統領選の決選投票で、中道系独立候補のマクロン前経済相が国民戦線のルペン候補を破って勝利した。

 フランス北部出身の39歳。史上最年少のフランス大統領の出現だ。

二大政党不在の決選投票

 選挙戦では高止まりする失業率や相次ぐテロを受け、EU・ユーロ圏をめぐる路線や移民・難民の受け入れの是非が焦点となった。マクロン氏は現行路線を維持しつつ、労働分野の規制緩和など大胆な構造改革を進めると主張。ルペン氏は、EU離脱や自国通貨の復活を通じて財政や通貨政策の主導権を回復するとともに、移民の流入を制限して治安を改善すると訴えた。

 マクロン氏勝利の要因として挙げられるのは、「左派でも右派でもない政治」を掲げて無所属で立候補したことで、政治の現状に不満を持つ有権者の幅広い支持を集めたことだ。4月の第1回投票では左派与党・社会党と右派野党・共和党の候補が共に落選。二大政党不在の状態で決選投票が争われる異例の事態となった。

 一方、ルペン氏は「極右」のイメージを最後まで拭い去ることができなかった。オランド大統領や中道左派、中道右派の主要な政治家がそろって「極右の大統領の選出を阻止すべきだ」としてマクロン氏への支持を表明したこともルペン氏には打撃となった。

 フランスはドイツと共に戦後一貫して欧州統合を牽引(けんいん)してきた。欧州各国では現在、多くの移民・難民の流入で反EU感情の高まりが見られる。特に英国がEU離脱を決めたことで、EU懐疑派が勢いを得ている。

 ルペン氏が勝利していれば、EUは崩壊の危機に直面していた恐れがある。EUにさまざまな課題があるのは事実だが、これまでの欧州統合の成果を水泡に帰すわけにはいかない。マクロン氏はドイツなどと協力し、EUの安定化に努めるべきだ。

 もっともルペン氏は今回、国民戦線の候補としては、これまでで最も多い1000万を超える票を獲得した。ルペン氏の公約が一定の支持を得たことを示すものと言えよう。EUや移民受け入れをめぐって、フランス国民、そして欧州市民の不満を解消できるか、マクロン氏の手腕が問われる。

 また、今回の選挙では白票と無効票の合計の割合が11・5%で過去最高となった。いずれの候補にも共感できない有権者が棄権したり、白票を通じて抗議の意思を表明したりしたとみられる。

格差解消実現も課題

 金融業界出身のマクロン氏に対しては「議員経験がなく、若過ぎる」「リベラル過ぎて一部の勝ち組だけが得をし、格差が拡大する」などと懸念する声も上がっている。第1回投票直後にパリの高級レストランで祝勝パーティーを開いたことも批判を浴びた。

 マクロン氏は決選投票勝利を受け、「国民は一つになることを望んでおり、私は和解を目指す。自由、平等、友愛という共和国の価値観に基づいて、皆さんに仕えたい」と述べた。経済の立て直しや社会の格差解消の実現も大きな課題だ。