世界日報 Web版

モルディブ、日米は関係強化に努めよ


 インド洋の島国モルディブで総選挙(一院制、定数87)の投開票が行われ、ソリ大統領の与党モルディブ人民主党(MDP)が単独過半数の議席を獲得して圧勝し、親中国派のヤミーン前大統領が率いるモルディブ進歩党(PPM)は大敗した。

 モルディブはインド洋のシーレーン(海上交通路)の要衝であり、日本や米国などは関係強化に努めるべきだ。

親中派が総選挙で大敗

 MDPは選挙戦で、前政権の公共事業に関する汚職疑惑について徹底した捜査を進めると強調。この事業は、国内総生産(GDP)の4分の1超に達する対中負債の原因となった。

 MDPはソリ政権下で他の3党と連立与党を形成してきたが、連立相手の反対で汚職疑惑の追及は進まなかった。総選挙で単独過半数を獲得したことで、捜査の進展が見込まれる。

 有権者は、ヤミーン前政権の汚職体質だけでなく、野党政治家の拘束や閣僚の更迭を連発した強権的な政治手法も嫌ったとみられている。

 ソリ氏は昨年9月の大統領選でヤミーン氏を破った。この大統領選は、シルクロード経済圏構想「一帯一路」の枠組みを生かしてヤミーン氏の国土開発を支援する中国と、域内の「盟主」として影響力を確保したいインドとの「代理戦争」の様相も呈した。

 モルディブは歴史的にインドと関係が深かったが、ヤミーン前政権は経済支援を得るために中国との関係を深めた。ソリ氏は大統領選後、インドを最初の訪問国に選ぶなど政策転換を図った。

 中国は、インドを取り巻くように海洋拠点を建設する「真珠の首飾り」戦略を進める。スリランカやパキスタンでは、莫大な借款を投じて港を建設し、返済の見通しが立たないとみるや、国営企業に施設を数十年間租借させる契約を結んできた。こうした中国の強引なやり方を「債務のわな」と警戒する動きが広がっている。

 イタリアが先進7カ国(G7)では初めて、一帯一路推進に協力する覚書を中国と締結したことで、欧州でも中国の影響力が強まっている。欧州では一帯一路について、中・東欧16カ国が中国との定例首脳会議「16プラス1」を設置し、協力関係を築いている。債務危機からの立ち直りを図るギリシャでは、国内最大のピレウス港の経営権が中国企業に譲渡された。

 中国が海洋権益拡大を図っていることを受け、安倍晋三首相は2016年8月にケニアで開かれたアフリカ開発会議(TICAD)で「自由で開かれたインド太平洋」を提唱した。地域の繁栄とシーレーン(海上交通路)の安全確保のため、航行の自由や法の支配といった価値観を浸透させることが狙いだ。

地域の真の発展に貢献を

 ソリ政権が、共産党一党独裁体制の中国との関係を見直し、「世界最大の民主主義国」であるインドとの関係を重視することは、この地域の安定に資することだと言える。

 日米などは、透明性などを重視したインフラ投資への支援強化で、地域の真の発展に貢献する必要がある。