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軍用無人機市場で中国台頭


売却先選ばず拡散に懸念

 中国は武装無人機の輸出を精力的に進め、急速に成長する世界の巨大無人機市場を支配しようとしている。米国はテロリストらの手に渡る可能性があることから、中東の同盟国などへの輸出は控えており、中国製無人機が今後、米国の安全保障にとって脅威となる可能性がある。

 軍需産業アナリストらによると、トランプ米政権は、軍用無人機売却に関する政策の作成を急いでいる。米企業が巨大な国際市場に食い込み、これらの先進兵器がテロリストらの手に渡らないようにするためだ。

 ところが中国は対照的に、売却先を選ばず、パキスタンなどテロリストの温床とみられる国々にも売却、兵器の拡散を懸念し売却先を選ぶ米国の政策の裏をかく格好となっている。

 有力国際法律事務所フロスト・アンド・サリバンの航空軍事研究部長マイケル・ブレーズ氏は、「米国が売らない相手に、中国が入ってきて売っている」と中国の無人機市場への進出ぶりを強調した。

 世界の軍用無人機市場は今後数年で爆発的に成長するとみられ、有力軍事航空コンサルティング企業ティール・グループのデータによると、今後10年間で800億㌦を超えるという。

 ホワイトハウスは今年に入って、同盟国への無人機売却承認手続きの簡素化を発表。ナバロ大統領補佐官(通商製造業政策担当)は4月、ワシントン・タイムズへの寄稿で、「米製兵器を使用することは、(同盟国、友好国の)中国やロシアの兵器への依存を減らすことになる」と指摘、兵器輸出をめぐる「内外の障壁撤廃に政権は取り組む用意がある」と同盟国への武器輸出に意欲を示した。

 戦略国際問題研究所(CSIS)のまとめによると、中国の無人機輸出は昨年末段階で、25%がパキスタン、23%はエジプト、13%はミャンマー向けだった。ヨルダンは米国に無人機の売却を求めてきたが拒否され、中国からの導入にかじを切ったという。

 また、中国の無人機は米国製よりも大幅に低価格で、CSISの見積もりによると、中国製の無人機「彩虹5」は、約800万㌦で、米国製のリーパーの半分以下だ。

 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、昨年、中国が売却した無人機の数は、米国の2倍。イスラエルは安全保障上の理由から中東諸国には売却しておらず、主に、中南米、欧州、ロシアなどが輸出先だ。

 ティール・グループの企業分析部長フィル・フィネガン氏は、「中国は、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジ、エジプトなど米国の同盟国にも輸出している。米国の同盟国だが、米国が無人機を渡したくない国々だ」と指摘。イラクも、高価な米製無人機より安価な中国製を選択したと報じられるなど、中国の攻勢が目立っている。

(ワシントン・タイムズ特約)