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中国国産空母、懸念される海洋進出強化


 中国初の国産空母が遼寧省大連で進水した。「海洋強国」を掲げる習近平指導部は、さらに空母を建造する方針だ。

 中国は東・南シナ海で強引な海洋進出を進めている。空母建造などの海軍力増強で、こうした動きに拍車が掛かることが懸念される。

さらに建造する方針

 国産空母の外観は、ウクライナから購入した船体を改修した初の空母「遼寧」とほぼ同じ。艦載機を射出するカタパルト方式ではなく、艦載機の数や重量が制限されるスキージャンプ台方式を採用している。

 このため、米国の空母には及ばない。だが、油断は禁物だ。上海で建造中とされる3隻目の空母は、カタパルト方式を採用し、これまでの2隻よりも規模や性能が大幅に向上するとみられている。艦載機パイロットの訓練を積めば、日本にとっても大きな脅威となる恐れがある。

 中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は「中国の領土と海外権益を守るため、西太平洋とインド洋にそれぞれ二つの空母打撃群が必要だ」という軍事専門家の見解を伝えた。この専門家は少なくとも5~6隻の空母保有を求めている。習指導部は、空母により南シナ海や台湾周辺で優位に立ち、中東やアフリカでの権益を守ることを目指している。

 遼寧は今年1月、台湾海峡を北に向かって航行。昨年12月に台湾沖の西太平洋を南下して南シナ海に入ったため、台湾を1周したことになる。「一つの中国」原則をめぐって対立する台湾の蔡英文政権への牽制(けんせい)だ。中国の空母が増えれば、台湾への圧力は高まろう。

 南シナ海をめぐっては昨年7月、オランダ・ハーグの仲裁裁判所が、中国が造成する人工島に関し、排他的経済水域(EEZ)は生じないとの判断を下すなど中国の主張を否定した。それにもかかわらず、中国は判決を無視して南シナ海の軍事拠点化を続けている。

 東シナ海でも、中国は沖縄県・尖閣諸島の領有権を不当に主張し、尖閣周辺では中国公船が領海侵入を繰り返している。日中中間線付近では、一方的にガス田開発を続けている。中国のガス田施設は軍事利用される可能性もあり、看過できない。

 中国は1996年の台湾海峡危機で、米国が派遣した空母2隻に手も足も出なかった。習指導部は米軍の展開を阻む「接近阻止・領域拒否」戦略を進めるなど米国に対抗しうる「海洋強国」の実現を目指している。今回の空母進水は、その大きな節目だと言える。

 習主席はオバマ前米大統領との会談で「広く大きな太平洋には米中の両大国を受け入れる十分な空間がある」と述べた。将来的には西太平洋の覇権を握ることが狙いだろう。

同盟強化へ不断の努力を

 日本がこうした中国の動きに対処する上で、安全保障関連法に基づいて自衛隊が実施した米艦防護は大きな一歩だ。日本には米国との同盟を強化する不断の努力が求められる。

 中国の空母建造にはインド洋周辺での存在感を高める思惑もある。日米とインドとの連携強化も重要だ。

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