「米は憲法9条改正を支持せよ」―インドのチェラニー教授がWTに寄稿


積極的な日本はアジアの利益

 インドの著名な戦略地政学者、ブラーマ・チェラニー政策研究センター(ニューデリー)教授は、4日付米紙ワシントン・タイムズへの寄稿で、中国の台頭で揺らぐアジアの秩序を維持するには、日本が防衛面でより「積極的」な役割を果たせるように支援することが必要であり、米国は憲法9条の改正を「公に支持」すべきだと主張した。

ブラーマ・チェラニー政策研究センター教授

ブラーマ・チェラニー政策研究センター教授

 チェラニー氏は、米国が日本に押し付けた平和憲法は「日本が再び米国の脅威とならないように、日本を米国の従属国にする」ためだったが、「今は自国の防衛や地域の安全保障でより大きな責任を担う自信と信頼に満ちた日本のほうが米国の利益にかなう」と指摘した。

 安全保障関連法の成立で集団的自衛権行使が一部容認されたが、憲法9条の改正ではなく解釈変更では「限界がある」と強調。だが、「日本の憲法は世界で最も改正が困難な憲法の一つ」であり、「国会の両院で3分の2の賛成を得られたとしても、国民投票で過半数の支持を得られるか疑わしい」との見方を示した。

 チェラニー氏は、安全保障関連法に対して強い反発が起きたことは、「米国が植え付けた平和主義が日本社会に深く根付いていることを思い起こさせた」と指摘。「アジアの永続的な平和のためには積極的な日本が必要だ。日本が戦後の体制や政策のさらなる改革を実行できなければ、地域の安全を蝕む」と強い懸念を示した。

 その上で、チェラニー氏は「日本が今日直面する問題の原因をつくったのは米国だ。米国は今、問題解決の一部とならなければならない」と主張。米国が9条改正を公に支持すれば、「強力な平和主義者の有権者や中国からの批判を鈍くするのに役立つだろう」との見通しを示した。