鳴り物入りで行われた佐川宣寿前国税庁長官…


 鳴り物入りで行われた佐川宣寿前国税庁長官の国会証人喚問。財務省の文書改竄(かいざん)で安倍晋三首相や麻生太郎財務相ら外部からの指示は、はっきりと否定した。動機や経緯については刑事訴追の恐れがあるとして証言を拒否。

 野党は、加計学園問題での前川喜平前文部科学事務次官のような“造反”を期待したのだろうが、不発に終わった。安倍昭恵夫人の喚問要求も無理筋というものだ。後味の悪い政治ショーにはなっても、真相の究明には役立たないだろう。

 国会が佐川氏の証人喚問一色になっている時、北朝鮮の要人が中国の北京を訪問し活発な外交を展開した。要人が誰か、誰と会ったかなど一切明らかにされていないが、金正恩朝鮮労働党委員長ではないかとの見方もある。

 いずれにしても、北朝鮮は実にしたたかな外交を繰り広げている。中朝関係がこれまでになく冷え切った中で米朝首脳会談が決まり、中国が蚊帳の外に置かれた状況での訪問だ。北朝鮮にとって、中国との関係を繋(つな)いでおくことは対米交渉上も重要である。

 一方、米国のトランプ政権はティラーソン国務長官を更迭。さらには国家安全保障担当大統領補佐官に強硬派のボルトン元国連大使の起用が決まった。対北朝鮮シフトの要素が強い。

 このように米朝首脳会談に向け、各国で活発な駆け引きが展開されている。ほとんど何もしていないのは日本だけではないか。いつまでも森友ばかりを追い掛けている時ではない。