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民進党大会、明確な外交安保政策が不可欠


 民進党の結党後初となる定期党大会が行われた。蓮舫代表は次期衆院選に向け、「2030年代」とした原発稼働ゼロの目標を前倒しした法案の策定を表明し、政権交代への決意を語った。しかし、国家の舵(かじ)取りをする上で不可欠な外交・安全保障政策に関しての言及が一切ないなど、本気で政権獲得を目指す意気込みは見られなかった。
 支持率は低迷したまま

蓮舫代表が昨年9月に就任してから約半年が経過したが、党の支持率は低迷したままだ。今回打ち出した「原発ゼロ基本法案」は、再稼働を進める安倍政権との対立軸を明確にすることで、党勢回復へ活路を見いだす狙いがあるとみられる。

 当初、蓮舫代表は大会で原発稼働ゼロ目標の30年への前倒しを表明する考えだったが、唐突な方針変更であったため、支持母体の連合や党内の原発推進派らの猛反発を受けて断念した。それでも同法案への「30年ゼロ」明記を目指すとされている。

 一方、再生可能エネルギーや省エネの拡大で、国民生活や企業活動に十分な電力を安定的に確保し、電気料金の上昇を防げるのかについて、具体的な数値などは示していない。にもかかわらず、こうした非現実的な政策を推進しようとする蓮舫代表には、エネルギー安全保障の観点が欠落しており、場当たり的で無責任と言わざるを得ない。

 大会では、蓮舫代表や野田佳彦幹事長から安全保障や外交に関する発言は一切なく、社会保障制度をはじめとした内政問題に終始した。世界に目を向ければ、米国では「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ新政権が誕生する一方、北朝鮮は核・ミサイルによる挑発を繰り返している。政権復帰を目指すのであれば、こうした国際情勢に日本がどう対処すべきか、明確なビジョンを示すのは当然だ。

 外交・安保といった国家存立の根幹に関わる課題に目を背けたままでは、安心して政権を任せられない。前身の民主党がこうした重要な政策をあいまいにしたまま政権に就くことで混乱を招き、短期間で下野した教訓を思い起こすべきだ。

 来賓としてあいさつした連合の神津里季生会長は「個々の政策をバラバラに示しても、なかなか民意を取り戻すことにはつながらない」として、より明確なビジョンや政権構想を示すように求めた。もっともな指摘であるが、そこに欠かせないのは明確な国家観、安保観だ。国民からの信頼を取り戻すには、それらを政策として具体化し、提示する必要がある。これこそが低迷状態から抜け出す唯一の道であることを認識すべきだ。

 憲法改正については、活動方針で「時代や民意の変化を踏まえた議論を積極的に行っていく」との記述にとどめた。現在、衆参両院の憲法審査会での議論は、民進党など野党の消極姿勢によって停滞気味だ。

 具体的な改憲案を期待

 衆参両院では自公維新など改憲に前向きな勢力が3分の2以上を占めている。だが、国民投票に向け幅広い合意形成を図るには民進党の協力が必要だ。憲法施行70年の年に、野党第1党として具体的な改憲案を打ち出すことを期待したい。