世界日報 Web版

自民党大会、改憲にも「常在戦場」の気概を


 自民党は党大会で「憲法改正原案の発議に向けて具体的な歩みを進める」と明記した平成29年の運動方針を採択した。自主憲法制定は自民党の党是だ。今年5月で施行70年を迎える現行憲法は、時代の変化と齟齬(そご)を来している。運動方針に発議を明記したのは評価できる。だが、それだけでは物足りない。発議後の国民投票を見据えれば、改憲に向けた国民啓蒙(けいもう)が不可欠だ。

 9条改正に自信持てず

 発議には衆参両院の総議員数の3分の2以上の賛成が必要だが、改憲派はすでに3分の2以上を占めており、発議への環境は整っている。しかし、どこをどう変えるのか、必ずしも一致していない。

 発議を審議する憲法審査会は護憲派の“牛歩戦術”にはまり、昨秋の臨時国会での開催は衆院2回、参院1回だけで、今国会では一度も開催されていない。ようやく16日に参政権について4カ月ぶりに議論に入ることを決めたが、遅々とした歩みだ。

 これでは発議はおぼつかない。自民党はすでに改憲草案を作成している。もとより同案にこだわる必要はないが、3分の2以上の「数」の確保や左派メディアへの配慮に汲々(きゅうきゅう)とするあまり、改憲の本筋から逸脱し、合意が得やすい条項の論議に終始してはいまいか。

 国際情勢の変化に対応するには9条改正に真正面から取り組まねばならないはずだ。それを怠って何のための改正なのか、疑問が湧く。

 なぜ堂々と9条改正を打ち出さないのか。それは発議後の国民投票に自信がないからだろう。世論啓蒙を怠ってきたツケが回ってきている。かつて500万人台を誇った自民党員は激減した。安倍晋三総裁(首相)の下で8年ぶりに100万人台を回復したものの、党組織の脆弱(ぜいじゃく)さは相変わらずだ。

 党の足腰となってきた地方議員も盤石ではない。2年前の統一地方選では41道府県議選で24年ぶりに総定数の半数以上を獲得したものの、市区町村議員数は公明党や共産党に及ばない。平成21年に野党に転落した際、「戦う地方議員」づくりを標榜(ひょうぼう)したが、政権奪取後、そうした声は聞かれなくなった。

 党支部は議員個人の後援会の色彩が強く、「党の公認さえあれば、当選する」といった安易な風潮が漂っている。衆院の295小選挙区(支部)で対話集会を促してきたが、連立を組む公明党の支援を期待し、改憲など対立しがちな政策については口を閉ざすことが多い。

 安倍首相は党大会で、改憲論議をリードしていくのは「戦後一貫して日本の背骨を担ってきた自民党の歴史的使命だ」と訴えた。そうした共通認識が自民党議員や党員にあるのか、いささか心もとない。

 理論武装を推進せよ

 発議へ具体的な歩みを進めるには議員(支部長)に党是を再認識させ、改憲への理論武装を推進することだ。党是に従わない場合、次回選挙で候補者を差し替えるぐらいの強いリーダーシップが求められる。

 安倍首相は7月の東京都議選や次期衆院選を念頭に「常在戦場の気持ち」を強調した。改憲にも常在戦場の気概が必要だ。