9月3日内閣改造、国力を一層高める布陣を


 安倍晋三首相は就任から20カ月を過ぎた9月3日、内閣改造を行う。

 第1次安倍内閣は2006年9月から1年の短命だった。今年9月からの新布陣の下、安倍内閣が長期政権になるかどうか、まさに試練の秋を迎えたと言っても過言ではない。

 消費増税でGDP大幅減

 古くから永田町では、内閣改造で強くなった政権の例は見たことがない、と言われてきた。安倍首相がこの言葉を打ち破るには、経済分野では景気回復とデフレ脱却を着実に実現する必要がある。外交・安全保障においては、東シナ海などでの緊張の中、日米同盟の大切さを強調し、積極的平和主義を繰り返し訴えて抑止力を高めていくことが欠かせない。

 消費税は4月から税率が8%に引き上げられ、14年4~6月期の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1・7%減、年率換算で6・8%減となった。特に個人消費の落ち込みは深刻だ。現状では増税に伴う物価上昇に賃上げが追い付いておらず、このままでは来年10月に10%になると景気を腰折れさせてしまう恐れがある。

 日本経済の落ち込みが喧伝(けんでん)されれば、中国は内心ほくそ笑むかもしれない。経済は国家を支える柱の一つであり、アベノミクスの成功なくして外交の成功もないと言えよう。消費再増税について適切な判断のできる人物を入閣させるべきだ。

 米国との関係は多言を要さない。安倍首相は歴代首相と比較しても、日米安保条約を基盤に日米同盟の深化を主張、実践している。若干ではあるが防衛費の増額、島嶼(とうしょ)防衛の実施、懸案だった集団的自衛権の行使容認など、目に見える形で成果を上げてきた。

 政府は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移転作業を始めた。これに関して、自民党は11月16日の沖縄県知事選に向け、移設容認派で3選を目指す仲井真弘多知事の推薦を決めた。在日米軍の抑止力維持と沖縄の基地負担軽減を両立させるには、辺野古移設がベストの選択である。これを沖縄県民に丁寧に説明し、理解を得て移設を進められるかどうかが改造内閣には問われる。

 中国の軍備増強や北朝鮮の核・ミサイル開発によって、日本を取り巻く安保環境は悪化している。特に中国の強引な海洋進出は地域の緊張を高めている。南シナ海でのベトナムとのトラブルなどは中国に非がある。現在のような傲慢(ごうまん)な拡大路線を続ければ、対中包囲網が強まるばかりだろう。

 対中外交では「国際法遵守」「力による現状変更反対」という訴えを、首相をはじめ安倍内閣の閣僚もさまざまな機会に行っている。これは大きい。内閣改造後も、引き続き繰り返されるべきである。

 経済復活と安保強化を

 経済の復活に努め、自衛力を強化するとともに安保政策ではあくまで米国と共同歩調を取ること。これが各国にとって信頼できる地域大国・日本の姿である。安倍首相には、このことを念頭に置いて内閣改造に臨んでほしい。

(8月28日付社説)