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名護市長選、それでも辺野古移設を粛々と


 沖縄県米軍普天間飛行場の移設先とされる名護市の市長選が行われ、移設反対派の現職稲嶺進氏が再選された。しかし、昨年12月の仲井真弘多沖縄県知事による同市辺野古沿岸部の埋め立て申請の承認表明により、大きく前進した移設への動きを止めてはならない。

 稲嶺市長は市長権限で阻止する意向を明確にしているが、政府はそれでも粛々と辺野古移設を進めねばならない。

 安保は国家の専権事項

 安倍政権としては、市街地の中心に位置し「世界一危険」と言われる普天間飛行場を辺野古に移設して安全を確保すると同時に、米国の同盟国としての役割を果たし、国家の安全保障を強化したい考えが基本にある。

 中国、北朝鮮の軍拡や海洋進出により、沖縄県・尖閣諸島周辺海域での領海侵犯などが頻発している。こうした脅威に対処するには垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの機能を十分に発揮させる必要があり、その拠点を確保するためにも辺野古への移設が急がれているのだ。仲井真知事も昨年、「県民の意思に関係なく国際情勢は緊張している。沖縄は一定の役割を果たさなければならない」と語った。

 こうした緊迫した情勢を稲嶺市長がどれほど認識しているのか。再選された稲嶺市長は「市長として市民の安心、安全、財産を守る責任がある」と語った。名護市民の目先のことしか念頭にないようだが、国家、国民全体の安全が脅かされれば、名護市民にも脅威が及ぶことを悟らねばならない。

 今回、名護市民の民意は稲嶺市長の再選だった。市長は今後、あらゆる権限を利用し先頭に立って妨害活動を活発化させよう。それに扇動されて反対運動も激しくなることが予想される。県知事と名護市長との「対立」の構図はますます鮮明になっていく。それが知事選の候補者選びにも影響しよう。

 政府として肝要なのは、安全保障は国家の専権事項であるとの認識の下、粛々と移設作業を進めていくことだ。まずは、年度内に着手する現地調査である。妨害に配慮してずるずると工事が遅れれば事態が悪化することもあり得よう。

 日米両政府は昨年4月、「2022年度以降」の普天間返還で合意したが、それを実現するためには一日も早い辺野古移設が不可欠だ。

 米政府とよく話し合い、知事の求めた「5年以内の運用停止」に向けても安倍晋三首相は努力しなければならない。

 首相はまた、21年度まで沖縄振興予算を毎年3000億円台計上することを知事と約束した。そうした公約を果たしつつ、大きく変化しているわが国を取り巻く安全保障環境について丁寧に説明し、辺野古移設の意義を県民に理解してもらえる努力を続けなければならない。

 自民・公明は出直せ

 今年の9月には名護市議が任期満了になり、知事選は11月に予定されている。早期の移設実現のためにも推進派の勝利を積み重ねていくことが重要だ。名護市長選で候補者一本化に遅れた自民党はもとより地元県本部への説得を怠った公明党も反省し出直すべきである。

(1月21日付社説)