今日の文明と宗教を考える


小林 道憲

欲望氾濫する現代文明

哲学者 小林 道憲

 未曾有の大災害と犠牲者を生みだした東日本大震災に見舞われて、早や2年10カ月にもなる。その爪痕は、今なお修復はされていない。しかし、この大自然の与えた試練は、ただ一つ、われわれに宗教の原点についての重要なことを教えてくれていたように思われる。父を奪い、母を奪い、子を奪っていった海に向かって人々が祈りを奉(ささ)げている姿にこそ、現代人が忘れていた宗教心の原点が甦(よみがえ)ってきていたのではないか。多くの人命を奪い、一呑みにしていった大自然の力への畏れにこそ、宗教心の出発点があるのではないか。


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