「昭和天皇実録」の問題点


松本 健一

考察など手薄な編年体

麗澤大学教授・評論家 松本 健一

 この9月9日、宮内庁は昭和天皇の生涯の公式記録である「昭和天皇実録」の内容を公表した。これは、宮内庁によると、国内外の公文書や元側近の聞き取りなど3152件の資料をもとに編さんしたもので、そのうち約40件は未公表のものである。

 その未公表の資料には、大東亜戦争=太平洋戦争の開戦時に侍従長だった百武(ひゃくたけ)三郎の日記などもふくまれている。百武日記には、天皇が昭和12年1月に宇垣一成陸軍大将に組閣を命じたさい、中国との関係を心配して「侵略的行動との誤解を生じないよう」指示した旨、記されている。


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