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北方領土の日、日露間の信頼醸成期待 平塚利晃氏


きょう38回目の「北方領土の日」

北海道総務部北方領土対策本部北方領土対策局長 平塚利晃氏に聞く

 一昨年の安倍晋三首相とプーチン大統領の首脳会談で、日本政府は北方領土問題に関しては、「特別な制度」の下で共同経済活動を行うこと、さらに北方四島の元島民たちがロシアのビザなしで自由に訪問できる事業の拡充が議論された。これに関して北海道はどのように取り組もうとしているのか、北海道総務部北方領土対策本部の平塚利晃・北方領土対策局長に聞いた。
(札幌支局・湯朝 肇)

返還運動、後継者育成が急務

一昨年12月の日露首脳会談では北方領土をめぐって新しい方向性が打ち出された。これについて北海道はどのような取り組みを行っているのか。

平塚利晃氏

 一昨年の日露首脳会談において、北方四島における共同経済活動の協議開始が、平和条約の締結に向けた重要な一歩になり得るとの相互理解に達し、両国間で協議が進められています。昨年も数次にわたる首脳会談のほか、事務レベルでの協議が行われ、6月と10月には北方四島において現地調査が行われるなど、現在、共同経済活動に係る優先プロジェクトの具体化に向けた検討が進められています。

 また、元島民の方々の人道的視点からの墓参の改善については、昨年、8月の歯舞群島での墓参の際に出入域手続きポイントが増設されたほか、9月には政府主導のもと、航空機を利用した特別墓参が実施されるなどしたところであり、昨年11月の首脳会談では、今後も元島民の方々がより自由な往来ができるよう、さらなる改善策を取っていくことで一致されています。

 道としては、今後とも日露両政府間の協議の進捗(しんちょく)を十分注視しながら、これまで四島との交流の窓口を担ってきた隣接地域や関係団体と連携をしながら、国に対して提案を行うなど、必要な役割を果たしてまいります。

共同経済活動に関しては元島民の方々は、さまざまな受け止め方をされていると思います。これまでの領土返還運動を踏まえて、北海道としてはどのような方向性で返還運動を進めるべきだと思うか。

北方領土

 北方四島における共同経済活動は、日露双方の信頼関係の醸成に資するものであり、領土返還、平和条約の締結に向けた、重要な一歩となり得るものと認識しています。

 道では、これまで、共同経済活動に係る国への提案のほか、国の外交交渉を後押しするため、道内外での啓発・署名活動や、若い世代を対象としたポスターコンテストや合唱コンサートなど、世論喚起に取り組んでいます。

 今後とも、共同経済活動や、北方墓参、自由訪問、四島交流を四つの駆動力として、日露双方の信頼関係を醸成し、一日も早い領土返還、平和条約の締結に結び付くよう、政府間の協議の進捗を注視しながら隣接地域等と連携し、国に対して必要な提案などを行ってまいります。また、関係団体などとの連携を一層強化し返還要求運動の充実・拡大を図り、国民世論のさらなる喚起に向け、返還の実現に向け粘り強く取り組んでまいります。

元島民一世の高齢化がよく指摘される。元島民の高齢化対策、あるいは後継者の育成についてお話しください。

 元島民の方々の高齢化が進む中、若い世代の北方領土問題に対する関心を高め、理解を深めていくことが大変重要であると考えています。

 道では、これまで若い世代に向け、SNSでの情報発信をはじめ、「北方領土の日」ポスターコンテスト、中学生作文コンテストや中高生合唱コンサート、さらには、楽しく北方領土について学べるファミリー層向けの啓発イベントなど、北方領土への関心を高める取り組みを行ってきました。

 さらに、北方領土の語り部による「北方領土学習」の実施や、学習用DVDの作成など、若い世代の理解が一層深まるよう取り組んでいます。

 今後においても、これまでの取り組みに加え、若い世代のニーズや興味などを啓発活動に反映し、若い世代の参加拡大を図るとともに、これまでの取り組みに参加した若い世代の方々は、その関心を高め、返還要求運動のサポーターとして定着・活躍できる仕組みを検討するなど運動の後継者育成などに取り組み、返還要求運動の一層の充実・強化に努めてまいります。