はやぶさ2、夢が膨らむ小惑星着陸成功


 探査機「はやぶさ2」が小惑星「りゅうぐう」への着陸に成功した。また着陸時に試料採取のための弾丸が発射されたことも確認された。初代はやぶさで果たせなかった試みを、ことごとく成功させている宇宙航空研究開発機構(JAXA)はじめ関係者の努力を多としたい。

 試料は太陽系の成り立ちや生命の起源を探る手掛かりになる。夢が膨らむ、はやぶさ2の探査は12月ごろまで続く。さらなる成功を期待したい。

直径6㍍の「平地」に

 はやぶさ2は2014年12月にH2Aロケットで打ち上げられ、18年6月下旬にりゅうぐうに到着した。9月下旬には移動探査ロボットの小型ローバ「ミネルバ」2機を本体から分離し、りゅうぐうに着地させることに成功。撮影した写真や各種データから、りゅうぐう表面を移動していることも確認された。

 ミネルバは小惑星表面に降りた世界初のローバであり、小惑星表面で自律的に移動したことや写真撮影したことも世界初である。そして、今回のはやぶさ2本体の着陸成功である。

 当初の計画では昨年10月に着陸の予定だったが、表面に着陸の妨げになる大きな岩が予想より多くあることが分かり、延期を判断した。

 着陸場所の選定や目印(ターゲットマーカー)を使っての誘導、地表岩石の3次元データ作成など工夫を凝らし、精度を大幅に高めて、直径6㍍しかない「平地」へのピンポイント着陸を成功に導いた。見事としか言いようがない。

 加えて、初代はやぶさが失敗した試料採取のための弾丸発射を成功させ、「リベンジ」も果たした。初代の経験を生かし、機体下部にあって試料採取する筒状の「サンプラーホーン」と呼ばれる装置の先端に「折り返し」を付けたり、回収カプセルの気密性を向上させたりするなどの改良を加えた。

 はやぶさ2は今後、さらに2回の着陸・試料採取を計画しており、3回目には新開発の装置で人工クレーターを作り、“新鮮”な地下物質の採取を目指す。今年末まで探査を続け、20年末に帰還の予定である。

 はやぶさ2が着陸したりゅうぐうは、初代が探査した「イトカワ」(S型)とは別の種類のC型小惑星で、太陽系が誕生した約46億年前の水や有機物が残されているとみられている。

 最初にできたと考えられる微惑星の衝突・破壊・合体を通して惑星がどのように生まれたのか、また地球の水はどこから来たのか、生命を構成する有機物はどこでできたのか。はやぶさ2はこうした太陽系の誕生と惑星の起源、地球での生命誕生の秘密に迫るわけである。20年末に持ち帰る試料により、具体的にどんな知見が得られるか、成果が待ち遠しい。

初代以上の意義を持つ

 初代はやぶさは世界初の小惑星サンプルリターンとして、数々の新しい技術に挑戦し、幾多のトラブルに見舞われながらも、多くの科学的、技術的成果を上げた。はやぶさ2はそれに勝るとも劣らぬ、いや、それ以上の意義を持つと指摘する識者もいる。さらなるフロンティアの開拓に夢が膨らむ。