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福島第2廃炉へ、原発新増設の方針明示せよ


 東京電力ホールディングス(HD)の小早川智明社長は、福島第2原発(福島県楢葉町、富岡町)の全4基を廃炉にする方針を表明した。

 福島第1原発(同県大熊町、双葉町)の全6基は廃炉が既に決まっており、県内の原発は全廃となる。

 30年に30基稼働の目標

 福島第2をめぐっては再稼働への不安が福島県民の間に広がっており、県や県議会は廃炉を求めていた。小早川社長は「このままあいまいな状況を続けること自体が復興の足かせだ」と話し、全基廃炉の方向で具体的な検討に入ることを表明した。

 2011年3月に東日本大震災が発生した際、福島第2は津波の影響で3基の冷却機能が一時失われたが、炉心溶融は回避できた。現在は安定した冷却状態を維持している。東電の一部には再稼働を検討する動きもあったが、審査合格には多額の投資が必要となるため、廃炉を求める地元の意向に沿った。

 東電は着実に廃炉を進める必要がある。そのためには、作業で生じる放射性廃棄物の処分先決定や人員確保などに万全を尽くさなければならない。

 福島第2の廃炉によって県内の原発は全廃となり、全国で稼働可能な原発は38基に減る。政府は新たなエネルギー基本計画を7月に閣議決定することを目指している。この中では、30年の最適な電源構成として原発の比率を現行計画の20~22%に据え置く目標を掲げている。達成には30基程度の再稼働が必要だが、現在再稼働中の原発は8基しかない。

 基本計画では、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けている。燃料費が安く、安定的に発電できるためだ。燃料のウランはカナダやオーストラリアなど政情の安定した国々に分散しており、エネルギー資源のほとんどを海外に依存する日本にとっては重要だと言える。

 また原発は二酸化炭素(CO2)を排出しないメリットもあり、地球温暖化対策を進める上でも欠かせない。一方、やはりCO2を出さない再生可能エネルギーは、発電コストが高く、発電量が天候に左右されるという課題を抱える。基本計画には日本にとっての原発の重要性を踏まえ、新増設や建て替えの方針を明示すべきだ。

 東電は福島第2の廃炉の費用を約2800億円と見込んでいる。しかし想定より膨らむ恐れもあり、国の支援を受ける東電の再建計画に影響を及ぼす可能性もある。さらに、東電は福島第1原発事故の関連で必要とされる約22兆円のうち約16兆円を捻出しなければならない。廃炉を進める上でも、東電の経営改善が欠かせない。

 柏崎刈羽の再稼働を

 福島第2がなくなれば、東電が保有する原発は新潟県の柏崎刈羽原発だけとなる。同原発の6、7号機は昨年12月に原子力規制委員会の審査に合格している。この再稼働ができるかどうかが東電の収益向上の焦点となろう。

 新潟県の花角英世知事は再稼働に慎重な姿勢を示している。地元住民の不安を払拭(ふっしょく)し、再稼働への理解を得ていくことが求められている。