大阪地震、余震には最大限の警戒を


 大阪府北部を震源とする地震が発生し、大阪市北区や同府高槻市などで震度6弱の揺れを観測した。4人が死亡し、約300人が負傷するなどの被害が出ている。気象庁は、今後約1週間は最大6弱程度の地震に注意するよう呼び掛けた。最大限の警戒を要する。

小4女児ら4人が死亡

 大阪府内で震度6弱以上を観測したのは、同庁に統計が残る1923年以降では初めてだ。地震の影響で新幹線や在来線が運転を見合わせ、通勤、通学の足を直撃。このほか、多くの航空便も欠航した。停電は復旧したが、一部地域でガスと水道が使えない状態が続いている。大阪府は、陸上自衛隊に災害派遣を要請した。

 瓦や外壁の落下、ブロック塀の倒壊など建物被害も相次いでいる。高槻市の小学校ではプールの外壁が歩道側に倒れ、下敷きとなった小学4年の女児が死亡。大阪市東淀川区では壁が崩落して80代男性が、同府茨木市でも本棚の下敷きになった80代男性が、高槻市では80代女性が亡くなった。

 大阪では南海トラフ巨大地震による大きな被害が想定されていたが、プールの外壁は建築基準を満たしていなかった。これではとても住民の安全は守れない。検証とともに対策強化が急がれる。

 今回の地震の規模(マグニチュード)は6・1、震源の深さは13キロ。茨木市と高槻市の間の地下の地盤がずれる「断層活動」によって発生した。規模はそれほど大きくないが、直下型地震のため震源の真上は揺れが激しかった。95年の阪神大震災も、地下の比較的浅い場所で断層が動いたことで生じた。活断層は関西にも多いため、直下型地震に見舞われる可能性は高い。

 今回の震源の近くには、長さ数十キロメートルの「有馬―高槻断層帯」がほぼ東西に、「上町断層帯」が南北に走っている。いずれも30年以内にマグニチュード7・5程度の地震発生が懸念されている。今回の影響でこうした断層が動く恐れもある。

 2016年4月の熊本地震では、14日にマグニチュード6・5の前震が発生。いったん避難した住民が自宅に帰ったところ、16日に起きたマグニチュード7・3の本震で犠牲になった事例も少なくない。苦い教訓であり、大阪では今後も余震への厳重な警戒が求められる。

 大阪と同じ大都市の東京にとっても人ごとではない。首都直下地震が想定される中、災害に強い都市づくりが急務だ。

 東京では大地震の際、老朽化した木造家屋が密集する「木密地域」で被害が拡大する恐れがある。このため、東京都は木密地域を分断する形で幹線道路28路線の建設を決定。立ち退きを迫られる住民には丁寧な説明を尽くす必要がある。

 このほか、木造住宅の建て替えや防災公園の確保なども促している。被害極小化のため、あらゆる手を打つべきだ。

一人ひとりが備えを

 官庁や病院、集合住宅などでは、揺れを吸収する免震ゴムの導入も有効だ。各家庭では家具の固定などの対策を取ってほしい。国民一人ひとりに大地震への備えが求められる。