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17年の世界 中国の「強国路線」に対抗を


 米国でトランプ政権が発足した今年は、北朝鮮情勢から目が離せない1年だった。一方、北朝鮮に強い影響力を保持する中国では、共産党大会で「強国路線」が打ち出された。北朝鮮の核・ミサイル開発と共に中国の覇権主義的な動きは大きな脅威となっている。

 習主席への権力集中進む

 北朝鮮は今年、16回のミサイル発射実験を行った。ミサイルは北海道上空を通過したり、日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したりした。9月には過去最大規模となる6回目の核実験に踏み切った。核搭載の大陸間弾道ミサイル(ICBM)が米本土攻撃能力を有するのも時間の問題だとされる。

 11月のICBM発射を受け、国連安全保障理事会は全会一致で、米国主導で提出された北朝鮮への新たな制裁決議を採択した。しかし中国やロシアは決議に賛成しながらも、圧力よりも対話を強調している。北朝鮮の非核化実現のため、安保理常任理事国でもある中露両国は決議を厳格に履行すべきだ。

 北朝鮮のミサイル発射が国際社会の注目を集める一方、中国人民解放軍は11月のトランプ大統領訪中の直前、新型ICBMのDF41(東風41)の試験発射を極秘に行った。6発から10発の弾頭を搭載可能で、中国の戦略核弾頭技術が飛躍的に進歩した証しとされる。射程は1万2000㌔、誤差は100㍍で、米国全域を射程に収める。来年度中に実戦配備されるという。同盟国の米国で中国の脅威が増大することは、日本にとっても警戒を要する事態だ。

 中国による南シナ海の軍事拠点化も進んでいる。中国政府の特設サイト「中国南シナ海ネット」も、人工島造成の目的が軍事防衛の強化であることを認めた上で、今後も造成が継続され、人工島の面積が拡大していくと明言した。中国の主権主張を退けた仲裁裁判所の判決は無視している。こうした身勝手な振る舞いは国際秩序を揺るがすだけでなく、航行の自由を脅かすもので看過できない。

 10月の共産党大会で習近平総書記(国家主席)は「建国100年(2049年)までに社会主義の現代化強国を築く。中華民族はさらに活力を増し、世界の諸民族の中でそびえ立つだろう」と宣言。習氏の権力基盤が強化された。

 習氏はトランプ氏訪中の際に「太平洋には中国と米国を受け入れる十分な空間がある」と強調した。この発言には、将来的に米中両国でアジア太平洋地域を二分しようとする思惑が見え隠れしている。シルクロード経済圏構想「一帯一路」も提唱している中国が、覇権主義的な動きを強化することが懸念される。

 自由な海洋秩序を守れ

 米国が今月発表した「国家安全保障戦略」では、中国を国際秩序の現状変更を目指す「修正主義勢力」と強く批判。アジアで米国の影響力排除を狙っているとしている。トランプ氏は戦略公表時の演説で、米国は「力による平和」を中心にあらゆる手段を使って中国に対抗する必要があると訴えた。日本をはじめとする同盟国と連携し、自由で開かれた海洋秩序を守らなければならない。