世界日報 Web版

東海第2原発、運転延長へ効率的な審査を


 日本原子力発電は来年11月に40年の運転期限を迎える東海第2原発(茨城県東海村)について、20年の期間延長を原子力規制委員会に申請した。

認可の期限まで残り1年

 原子炉等規制法は原発の運転期間を原則40年と規定。規制委が認可すれば20年延長できる。認められれば全国で4基目で、東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型では初めてだ。ただし、来年11月までに規制委の安全審査に合格した上で工事計画と運転延長の認可を得られなければ廃炉となる。

 日本原電は電力会社向けに電気を販売する卸売会社だ。東京電力ホールディングスや関西電力など電力大手9社が共同出資している。

 だが現在保有する原発は全て停止しており、東海第2原発が廃炉に追い込まれれば会社の存亡に関わることになる。電気を購入する他の電力会社にも影響が及ぶ恐れがある。

 政府は原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、再稼働を進める方針を示している。海外からのエネルギー輸入に依存する日本にとって、燃料のエネルギー密度が高く備蓄が容易な原発はエネルギー安全保障のために不可欠だ。

 地球温暖化対策においても、日本の温室効果ガスの排出削減を進める上で原発の存在は大きい。東海第2原発が廃炉となれば、40年を迎える他の原発の運転延長への動きにも水を差すことになりかねない。規制委には効率的な審査を求めたい。

 日本原電は14年5月、再稼働に必要な審査を規制委に申請。今年10月に実質的な審査はほぼ終了し、規制委は事実上の合格証となる審査書の取りまとめ作業に入っている。しかし、安全対策の工事費は従来の想定額の2倍以上となる1800億円に膨らんだ。

 背景には、東海第2原発が2011年3月の東日本大震災で被災したことがある。最大5・4㍍の津波が押し寄せ、非常用発電機3台のうち1台が停止した。福島第1原発のような炉心溶融(メルトダウン)は免れたが、原子炉が冷温停止したのは被災から4日後だった。

 このため、日本原電は約17㍍の津波を想定し、高さ20㍍の防潮壁を建設する。当初は盛り土の予定だったが、規制委から液状化の可能性を指摘され、鋼鉄製のくいを地下約60㍍の岩盤まで打ち込む方式に変更した。

 1800億円の一部は、資金調達のめどが立っていない。規制委は、自社で賄えない工事費を債務保証する事業者を示すことを安全審査合格の条件としている。電力各社に支援を仰ぐなどして早急に費用を確保しなければならない。

住民の理解得る説明を

 東海第2原発は、事故が起きた場合に備え避難計画が必要な半径30㌔圏内に、国内の原発では最多の約100万人が居住している。

 水戸市やひたちなか市などの周辺5市の中には、住民アンケートで再稼働反対が賛成を大きく上回った自治体もある。自治体が実効性ある避難計画を策定するとともに、日本原電が原発の安全性について丁寧な説明で理解を得る必要がある。