領土・領海管理を強化せよ


 政府の総合海洋政策本部(本部長・安倍晋三首相)が「離島保全・管理のあり方に関する新たな基本方針」を決定した。

 中国は強引な海洋進出を続けている。政府は方針に沿って、領土・領海の管理を強化する必要がある。

 尖閣警備の専従体制確立

 新方針は、民主党政権時代の2009年12月に策定された方針を、安倍首相の指示によって見直したものだ。

 沖縄県・尖閣諸島周辺で「警備専従体制」を15年度内に確立することを明記した。ヘリコプター搭載型を含む巡視船を中心に構成し、「14隻相当」の警備力を想定している。

 尖閣周辺では、中国公船が領海侵入を繰り返している。今年に入ってからも、先月までの半年間で18回に上った。警備強化は当然のことだ。日本最西端の沖縄県・与那国島(与那国町)への沿岸監視隊配置など、南西諸島を含む島嶼(とうしょ)部の防衛体制強化も盛り込まれた。

 また、日本の排他的経済水域(EEZ)や領海の外縁となっている離島について、所有者がいない場合は国有財産として新たに登録するとした。政府はこれを踏まえ、所有者が判明していない約280の離島を早期に登録する。

 日本は6852の島嶼で構成され、このうち北海道、本州、四国、九州および沖縄本島を除く6847島が離島となる。領海とEEZを合わせた面積は約448万平方㌔で世界で6番目に広いが、これは離島が広く点在しているためだ。

 しかし、離島のうち人が住んでいるのは400島余りで、保全管理は権益確保のためにも欠かせない。日本の周辺海域には、メタンハイドレートや海底熱水鉱床などのエネルギー・鉱物資源が豊富に存在する。

 離島周辺は良好な漁場でもあるが、昨年秋の中国漁船による小笠原諸島周辺海域でのサンゴ密漁は、サンゴの生育環境を破壊したほか、島民にも大きな不安を与えた。再発を防止するためにも離島保全を強化する必要がある。

 方針には、日本最南端の沖ノ鳥島と最東端の南鳥島での港湾施設整備も盛り込まれた。沖ノ鳥島に関して、中国はEEZが設定できない「岩」と主張している。

 これについては、周辺海域で資源採掘に乗り出すのが狙いとの見方もある。政府は今までも保全に努めてきたが、一層の管理強化が求められる。南鳥島周辺の海底にも大量のレアアース(希土類)が存在する可能性が高い。

 一方、自民党も国境に近い有人離島に国の機関を設置して保全・振興を図る特別措置法案を今国会へ提出し成立を目指す。法案では北海道の礼文島、奥尻島、東京都の三宅島、八丈島、長崎県の対馬、壱岐島、鹿児島県の屋久島、口永良部島など8都道県の計71島を「特定国境離島」に指定した。

 自民法案の早期成立を

 これらの島では島民減少の一方、外国資本による土地買収などが進んでおり、安全保障上の観点から保全が急務と判断した。法案を速やかに成立させるべきだ。

(7月1日付社説)