世界日報 Web版

真実の探求続ける星雅彦氏


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 「沖縄戦の実情はどこかでゆがめられている。もう一度洗い流して考えなければならない」

 こう語る文芸誌「うらそえ文藝」編集長の星雅彦氏は、2009年発行の同誌(第14号)で軍命説に疑問を呈して以来、沖縄戦の真実を求め続けている。

 今月発行されたばかりの第19号では、近代文学が専門の仲程昌徳琉球大学名誉教授とのロング対談で集団自決問題に正面から取り組んでいる。対談は、昨年死去した民俗学者の谷川健一氏に話題が及んでいる。

 谷川氏は昭和46年に発行された「沖縄の証言(上)庶民が語る戦争体験」(中公新書256)を編集。このプロジェクトで星氏は慶良間諸島(渡嘉敷島、座間味島など)で沖縄戦を体験した住民に聞き取り調査を行っている。

 「当時、隊長命令があったといううわさはあったが、直接聞いたことはなかった。突っ込んで聞いてみると、いずれも伝聞の域を超えていなかった」という星氏。谷川氏は、編集段階で、星氏に断りなく集団自決は「隊長命令があった」と書き換えたと言う。

 谷川氏は2年前、ある人物宛ての手紙の中で、星氏とドキュメンタリー作家の上原正稔氏のインタビュー(「うらそえ文藝」第14号)に「集団自決問題には遺族の補償問題が根底にあることを初めて知った」と星氏の主張が正しかったという内容を書いていた。ところが「うらそえ文藝」の編集委員9人は、編集長の同意なしに、対談後半部分を削除しようと目論んでいたというから驚きだ。

 昨年まで沖縄県文化協会会長を務めた星氏は、平成25年度の沖縄県文化功労賞を受賞した。星氏の真実探求の旅は続く。(T)