子宮頸がんワクチン副反応問題 文科相が実態調査を約束


中高大で被害者の実数把握へ

 子宮頸(けい)がんワクチンの副反応被害が広がり、就学中の児童・生徒が休学や退学を余儀なくされるなどの問題が起きていることから、「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」(松藤美香会長)は10日、下村博文文部科学相に、全国の実態調査などを求める「要請書」を提出し、下村文科相は調査を約束。これにより同ワクチンの被害状況が一層、明確になってくるものとみられる。

 下村文科相は、「連絡会」事務局長の池田利恵日野市議らと面会し、具体的な方法や時期は明示しなかったが、「実際の被害を捕捉し善処したい」と表明。池田氏によると、「要請書に書かれていることはやりましょう」との意向を示した。

 要請書は、全国の小中高及び大学で子宮頸がんワクチンの具体的な被害を受けている人数の把握、学校でのワクチン被害を受け行動が不自由な子供たちへの配慮、休学で遅れた勉強内容の補習、補講による支援、などを求めている。

 同相はまた、子供がワクチンの重篤な副反応に苦しむ保護者から、学校で勉強したくても思うようにいかない娘の様子を切々と語る被害者の声に、真剣に耳を傾けた。

 文科省で記者会見に臨んだ福島から来た父母は、下村文科相が面会したことに謝意を表明。その上で、「娘の気持ちを思えば本当はこういう所には出たくないが、被害者の立場を明らかにできないでいる方々には、ぜひ、勇気を持って声を上げてほしい」と訴えた。

 大学2年生の娘が有料でワクチン接種した母親は、本人が不自由な体を押して階上の教室に並々ならぬ決意で上って行っている様子を述べる一方、「接種に際しては全く副反応の説明はなかった。大学病院で様々な検査をされても結局病名一つ分からない。これ以上、辛い検査をさせたくない」と語っていた。

 池田事務局長はまた、「連絡会」に直接実情を伝えて来た被害者のデータを基に、独自に作成した28人の名簿を文科相に手渡したことを明らかにした。