子宮頸がんワクチン 連絡会「迅速な調査を」-副反応検討部会


専門医による情報必要

 子宮頸がんワクチン接種で生じている副反応に対処する厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会(座長、桃井眞里子・国際医療福祉大学副学長)は16日、今年度に入り初めての会合を開いた。

 会合では、15人の委員が厚生労働省に報告されている重篤副反応の症例を議論。参考人として出席した複合性局所疼痛(とうつう)症候群(CRPS)の専門家、池田修一・信州大学教授は、厚労省に報告されている医療機関からのCRPSの症例は「データの信憑(しんぴょう)性が低く評価しにくい」と指摘。

 他の委員からも、もう一度、主治医からの報告等、データを洗い直し正確な医学情報を得る必要があるといった意見が相次いだ。これまで、重篤な症例に対して、子宮頸がんワクチンの副反応という認識が各医療機関に欠け、被害者が病院をたらい回しにされるケースが多かった。このため、重篤症例を中心に、ワクチン副反応という視点でしっかり検証することとなった。

 池田教授は、「重篤な症例はまれなので、全国をブロックに分け、それぞれで専門家が診断できる施設を決めて、正確な情報を収集すべきだ」と提案。厚労省は、「池田教授の研究班を核に調査を進める」(健康局結核感染症課)意向で、これと共に、CRPS以外の重篤副反応も正確な情報にしていく考えだ。

 同検討部会は、「全国子宮頸癌ワクチン被害者連絡会」(松藤美香会長)が提出した24件の副反応事例も、「医学的データとしては不十分」と判断、自治体の支援を受けて情報の充実が図られることになる。

最終的に「接種を中止するだけの医学的論拠が不足している」(桃井座長)としてワクチンの接種継続を決める一方、副反応事例を医学的データとして充実させ、次回検討会で改めて接種の是非を含めて判断することとなった。

この日、傍聴に来ていた「連絡会」の松藤会長は、「情報収集に時間ばかりかからないよう、拠点を迅速に定めて調査を進めてほしい」と語っていた。