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幼児教育無償化で得するのは?


 幼児教育無償化の自民党の提言案がまとまった。当初、保育所については認可だけとしていたが、認可外利用者から不公平との声が相次ぎ、認可外も対象となる見通しだ。

 0~2歳は住民税非課税世帯約6千人とし、全体で約11万人。月2万5千円を上限に支給する方向だ。

 ただ、低所得世帯の保育料は実質ほぼ無償化になっている。上限を設けたとしても高い保育料を払っている高所得者ほど恩恵を受けることには違いない。対象を絞ることが必要だろう。

 今回の議論で抜け落ちているのは、在宅育児の子育て世帯に対する手当をどうするか。今も保育利用者は在宅育児世帯と比べると、低い保育料負担で保育サービスという公費補助を受けている。今の制度では、専業主婦の子育て世帯が圧倒的に損する構造だ。これでは不公平感がさらに広がってしまう。

 最も懸念されるのは、無料となれば、利用しないと損という話になりかねない。野村総研の試算では、待機児童解消には新たに88万人分の受け皿が必要とのこと。政府の32万人分では全く足らないという話だ。

 保育事業を展開するNPO法人フローレンス代表の駒崎弘樹氏は『Wedge』12月号で「待機児童をなくす『全入化』であり、そこに財源が使われるべきだ」と保育拡充を主張している。

 そもそも幼児教育の無償化は、ノーベル経済学者のヘックマン氏が就学前教育の経済効果を実証したことから、主要先進国で幼児教育の無償化が広がった。ヘックマン氏が着目したのは非認知能力を育む乳幼児期の重要性であり、それは親による家庭教育の重要性でもあった。

 今回の無償化の議論は「人づくり革命」を掲げながら、質の議論が後回しになっている。「保育所に預けないと損になる」と、保育需要が増えれば利を得るのは、結局一部の保育事業者ということになる。(光)