政府は「教育勅語」について「憲法や教育基本法…


 政府は「教育勅語」について「憲法や教育基本法に反しない形」で教材として用いることを認めたが、朝日新聞は早速、4月2日付社説で「この決定に強い疑念を抱く」と、持論を展開している。

 「過去の遺物が教材か」と題した同社説で「教育勅語の本質」について「『一旦緩急あれば義勇公に奉じ、以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし』(いざという時には一身を捧げて皇室国家のために尽くせ)と国民に求めたことだ」と。果たしてそうか。

 哲学者で『風土』などを著した和辻哲郎はその著『倫理学』(岩波書店)で「立憲君主制の時代において、封建時代の家臣と同じ忠義を何千万人の人民から期待したとすれば、そういう考えは実に空虚なお題目に過ぎない」と。

 その上で「(教育勅語は)封建的な忠義道徳からの完全な解放であるといってよい」「臣民の道として指示されているのは、家族、地縁共同体、経済的組織、文化共同体、国家などにおける人倫の道」と指摘している。

 不幸にも、一部政治家、軍人によって「近代国家における国民の道の理解はかえって阻害され、もっとも強烈に忠君思想を振り回した連中が、最もはなはだしく国憲を軽んじ国法を蹂躙するに至った」と記している。

 勅語の内容を曲解し、「国民的統一の意識」の不在、空白時を突いて一部権力者のほしいままに勅語を利用したのが実相であるとしている。こうした和辻の洞察を朝日はどう見るか。